投資・資産運用
-
2020.5.27

IPO投資とは?メリットとデメリット、おすすめの証券会社を大解説!

(画像=Tashatuvango/Shutterstock.com)
(画像=Tashatuvango/Shutterstock.com)
これから資産運用を始めたい方は、「IPO」を利用することで、新規上場企業の株式を割安な価格で購入できる可能性があります。

人気のIPO株は、公募価格の数倍以上の初値が付く場合もあり、投資家の中にもIPOを利用して大きな利益を狙う方が多くいます。

IPOは抽選制となっており、購入したいと思っても購入できるとは限りません。また、IPOには「公募価格割れ」の恐れや、赤字上場会社の株と知らずに購入するリスクもあります。
本記事では、IPOの抽選当選率を上げる証券会社の選び方や、IPOのリスクに対する注意すべきポイントなどを紹介します。

IPOとは?

IPO(新規株式公開)とは、少数株主に限定されている未上場会社の株式を証券取引所(株式市場)に上場し、株主数を拡大させて、株式市場での売買を可能にすることを指します。 新たに株券を発行して株式市場から資金を調達する「公募増資」や、以前から株主に保有されていた株式を市場に放出する「売出し」があります。

上場した企業は株式市場からの資金調達が可能になるため、会社の知名度の向上によって、優秀な人材の確保が可能になるなどのメリットがあります。

IPOで売り出される株式は、証券会社で申し込むことによって一般の投資家でも買い付けを行うことができます。

近年IPOは非常に人気で買い付けの応募が殺到するため、証券会社は「IPO抽選」を行います。抽選に当選した投資家は、IPO株式を「公募価格」で購入することができますが、抽選に外れた場合はIPO株式が取引所に上場するまではその銘柄を買うことができません。

直近のIPOマーケット

直近のIPOマーケット状況について、2019年以降の状況を踏まえて説明します。

2019年のIPOによる上場企業数は86社で、2018年よりも4社減少しましたが、2017年以降は「高水準」と言われる90社前後で推移しています。

IPOにより企業が上場する取引所で最も多いのは、成長企業を中心とした取引所である「マザーズ」で、2019年は86社中64社となっています。上場する会社の業種では「情報・通信業」「サービス業」の多さが目立ちます。

また、企業が赤字にも関わらず取引所に上場する「赤字上場」も増えています。2019年は16社が赤字上場をしており、過去10年間で最多となっていす。

赤字でも上場できる企業の特徴としては、ビジネスモデルが確立しているなどの特徴があります。先行投資として商品開発などに多額の資金を投入した結果、赤字になっているという企業です。現状は赤字でもビジネスモデルが確立しており、今後の会員やユーザー数の確保が一定以上見込め、ある時点で損益分岐点を上回るなどの計算が立つことを前提で上場する、といった具合です。上場によって得られた資金を広告宣伝等に投入することで業績を拡大させ、黒字化の早期達成などが見込まれるため、赤字であるにも関わらず上場し、また、投資家も赤字を認識しながら将来の拡大を見込みIPO株式を購入します。最近では月額定額の「サブスクリプション」モデルのサービスを提供している企業の「赤字上場」が増えています。

ただし、2020年には業績悪化を見越した結果、「Fast Fitness Japan(7092)」や「ウイングアーク1st株式会社(4432)」のように、IPOを先送りや中止する企業が増加しました。

なお、IPOの売り出し価格である公募価格は各企業により異なりますが、概ね1,000円以内~5,000円前後となっており、原則100株から抽選に参加できます。
 

こちらもおすすめ
2019年のIPOで振り返る「SaaS」って結局なに?
この3社だけは覚えておこう!2020年のIPOが噂される企業
 

IPO投資のメリット

IPO投資の最も大きなメリットは、上場後に取引所で買うより安く株式を購入できる可能性が高いことです。
2019年に上場後初値が公募価格以下になる「公募価格割れ」となったIPO銘柄は86社中9社で、2018年は90社中9社でした。直近で考えると、IPOで購入した株式のうち約9割は上場後の初値より安く買えたことになります。
また、IPO銘柄によっては公募価格と比較して非常に高い初値を付ける場合もあります。
2019年12月17日にマザーズ市場に上場した「ウィルズ(4482)」は、公募価格が960円だったのに対し上場後初値は4535円を付けました。

そのため、IPOで当選した株式を上場後の初値で売却するスタイルをとる投資家も少なくありません。また、IPOの抽選申し込み、および当選後の購入申し込みには原則手数料がかからないメリットもあります。それもIPOが人気を集める理由の1つといえるでしょう。

IPO投資のデメリット

IPO投資のデメリットは、上場する企業すべてが優良企業でないことと、一部企業では初値が公開価格以下になる「公募価格割れ」となる場合もあることです。
2019年はIPOで上場した企業86社のうち9社は公募価格割れでした。中には2019年6月4日に上場した「大英産業(2974)」のように、公募価格に対して10%以上低い株価で初値が付いた企業もあります。

また、前述の通り、IPO銘柄の中には赤字の状況で上場する企業もあります。2019年12月16日に上場した「ランサーズ(4484)」は、前期の経常利益が9400万円の赤字決算でしたが、IPOによりマザーズに上場しました。上場後には公募価格730円に対し初値830円を付けましたが、2020年3月21日現在は438円まで下落しています。

公募価格割れを予測するのは難しいですが、IPO抽選申し込み時に閲覧できる「目論見書」で企業の売上や利益、事業内容などを調べることができます。抽選申し込み前には「目論見書」をしっかりとチェックしましょう。オンラインでIPOの抽選に申し込む場合は、オンライン上で「目論見書」を閲覧することもできます。

IPO最大のデメリットは「なかなか当選しないこと」です。特にここ数年は公募価格割れの割合が低く、IPO抽選で当選すれば計算上、90%の割合で公募価格より高い初値で売却できています。
以上の状況で「IPOは公募価格より高く売れる手堅い投資」という認識が直近では市場に広まっているため、IPO抽選を申し込む投資家も急増しており、当選率はますます低くなっています。

IPO投資でおすすめの証券会社(各社の特徴や実績を比較)

IPOにおいて、できるだけ当選率を高めるには「証券会社選び」が非常に重要です。

IPOという側面で口座開設を行う証券会社を選択する際は、「IPO取扱い数」「口座開設数」「IPO抽選方法」に着目する必要があります。

・IPO取扱い数

IPO抽選は、IPO企業の「主幹事・幹事証券会社」でのみ行われます。そのため、証券会社ごとに各企業のIPOを取り扱うか否かが異なります。

できるだけ多くの抽選に申し込んでIPO抽選に当選する確率を少しでも増やしたいのであれば、IPO取扱い数が多い証券会社を選ぶ必要があります。

・口座開設数

証券会社の口座開設数は、IPO抽選においては「ライバルの数」に等しいです。もちろん、証券会社に口座を開設している全ての投資家がIPO抽選に申し込むとは限りません。しかし口座開設数が多ければ多いほどIPO抽選に申し込みを行う母数が増える可能性は高くなります。

・IPO抽選方法

IPO抽選方法も証券会社によって異なる場合があります。
種類としては、資金や預かり資産等で判断をせず抽選を行う「完全抽選制」、証券会社側で様々な側面(資産や取引実績)で勘案して配分を行う「店頭配分」などが多いです。
証券会社によっては、IPO抽選に参加するごとに貰えるポイント数や取引実績で当選率が高くなる場合もあります。

以上の「IPO抽選方法」「口座開設数」「IPO取扱い数(2019年)」を、証券会社ごとに以下にまとめました。
 

証券会社名
IPO抽選方法 総口座数
(ライバルの数)
IPO取扱い数
(2019年)
auカブドットコム ほぼ完全平等抽選 110万口座 25社
SBI証券 70%完全平等抽選
30%IPOチャレンジ
500万口座 86社
SMBC日興証券 10%完全平等抽選
5%ステージ別抽選
345万口座 66社
岡三オンライン証券 取引実績に応じて抽選 23万口座 34社
大和証券 10~15%
完全平等抽選
5~10%
チャンス抽選
334万口座 47社
東海東京証券 引受数に応じて
10% 完全平等抽選
または取引実績等により配分
42万口座 27社
野村證券 10%(以上)を完全平等抽選 468万口座
※オンライン契約口座
39社
松井証券 70%完全抽選 121万口座 21社
マネックス証券 100%完全平等抽選 181万口座 45社
楽天証券 100%完全平等抽選 375万口座 27社

理論的には「完全平等抽選」「IPO取扱い数が多い」「口座数が少ない」という条件を満たした証券会社であれば抽選率が高まることになります。
ただ、IPOは証券会社によって割り振りされる株数が異なり「主幹事証券会社」を務める証券会社のほうが「幹事証券会社」を務める証券会社よりも多くIPOの株式が割り振りされます。

野村證券や大和証券、SMBC日興証券は口座開設数(ライバル数)が多いですが、「主幹事証券会社」を務めるIPOも多く、IPO株式が多く配分される傾向にあります。
つまり、「完全平等抽選」「IPO取扱い数が多い」「口座数が少ない」だけで判断をして1つの証券会社だけに口座を開設しても、IPO抽選に当選する確率はなかなか高まりません。

IPO投資で当選率を上げるには?

資金や資産の少ない、初心者の投資家がIPO投資の当選率を上げる最も効果的な方法は、複数の証券会社に口座を開設して、それぞれの証券会社でIPO抽選に申し込むことです。

1つの銘柄のIPOは複数の証券会社で取り扱われる場合が多く、また複数の証券会社で重複してIPO抽選に申し込むことが原則可能です。

ただし、証券会社によってIPOに必要な資金が必要となるタイミングが「抽選を申し込むタイミングで資金が必要」「IPO抽選申し込み時に資金相当の預かり資産が必要」「IPOに当選後、購入時に資金が必要」という3つのタイプに分かれます。

このうち、「抽選申し込み時には資産や資金が一切必要ない証券会社」であれば、資金の少ない方でも複数の証券会社でIPOの抽選申し込みを行うことが可能です。
例えば、「野村證券オンラインサービス」でIPO抽選に申し込む場合は、IPO抽選時点の資金が0円であっても申し込むことができます。なお、野村證券のオンライン配分のIPO抽選は、資産額に関わらず完全平等制で行われるので、そういった点でも、多額の資金が手元にない方や初心者でも申し込みやすい証券会社といえるでしょう。

また、仮に複数の証券会社でIPO抽選に申し込み、複数の証券会社で当選した場合、投資家の資金状況によっては一方の証券会社でIPOの株式購入を辞退せざるをえないかもしれません。
この場合、IPO当選後に株式の購入を辞退するとペナルティがある証券会社と、特にペナルティのない証券会社があるため、認識しておく必要があります。

例えば、SMBC日興証券ではIPO抽選に当選した後に株式の購入を辞退すると、1か月間新規のIPO抽選に申し込みができなくなります。

複数の証券会社でIPO抽選申し込みをするにあたって留意すべき点を踏まえた証券会社の比較が以下の通りとなります。
 
証券会社名 購入辞退した場合 抽選前の資金条件
auカブドットコム ペナルティ無し 抽選前に買い付け余力の入金必要
SBI証券 ペナルティ無し 抽選前に買い付け余力の入金必要
SMBC日興証券 一か月間IPOの申し込み不可 抽選前に買い付け余力の入金必要
岡三オンライン証券 以降IPO申し込みができない可能性がある 抽選前に買い付け余力の入金必要
大和証券 ペナルティ無し 抽選申し込み前に
購入代金以上の預かり資産が必須
東海東京証券 ペナルティ無し 抽選申し込み前に入金必要
野村證券 ペナルティ無し 抽選前の入金不要
松井証券 ペナルティ無し 抽選前の入金不要
マネックス証券 ペナルティ無し 抽選申し込み前に入金
必要
楽天証券 ペナルティ無し 抽選申し込み前に
購入代金以上の預かり資産が必須

「購入辞退した場合のペナルティの有無」「抽選前の資金条件」という2つの要素と、ご自身の投資に利用できる資金とを踏まえて、複数の証券会社にて口座開設・IPO申し込みをすることで、IPOの当選率を上げることができます。

手数料の比較

次に、IPO投資にかかる手数料で証券会社を比較します。

通常の株式取引では、買い付け及び売却時それぞれのタイミングで売買手数料が掛かりますが、IPOは抽選申し込み・購入申し込み時には手数料が掛かりません。そのため、IPOで購入時に必要となる資金は「公募価格×株数」のみとなります。

IPO抽選で当選後に購入した株式を売却する場合は、通常の国内株式と同等の手数料がかかります。上場後の初値で売却する場合は「IPO初値×100株」が、売却金額となります。

2019年に行われたIPO(86社)について、「IPO初値×100株」の割合を示したグラフが以下の通りです。
 

グラフから、IPOで当選した株式を初値で100株売却する場合、約定代金が100万円以内となる場合が95.5%となることが分かりますので、証券会社ごとの10万円~100万円までの手数料を比較すれば、IPO投資にかかる売却手数料における証券会社の比較をするに十分であると言えます。

約定代金10万円~100万円の、証券会社ごとの手数料の比較が以下の通りとなります。
 

証券会社名
株式売買手数料
10万円まで 20万円まで 50万円まで 100万円まで
auカブドットコム(税抜き) 90円 180円 250円 990円
SBI証券(税抜き) 90円 105円 250円 487円
SMBC日興証券(ダイレクトコース) 137円 198円 440円 880円
岡三オンライン証券 無料 無料 無料 800円
大和証券(ダイワ・ダイレクトコース) 1,100円 1,100円 1,100円 3,795円
東海東京証券(かんたんダイレクトサービス) 1,650円 1,650円 1,897円 3,795円
野村證券(野村ネット&コール) 152円 330円 524円 1,048円
松井証券 無料 無料 無料 1,000円
マネックス証券 100円 180円 450円 1,000円
楽天証券 99円 115円 275円 535円

上記はすべてインターネットサービス利用時の手数料となります。

なお、IPOは多くの証券会社でNISA枠を利用して購入の申し込みを行うことができます。そして、証券会社によってはNISAを利用した売買手数料が無料となる場合があります。
 

NISAでの国内株式の売買手数料が無料の証券会社
SBI証券
楽天証券
auカブドットコム
マネックス証券
松井証券

NISAは、通常の株式の売却に掛かる譲渡益税(約20%)が非課税となるメリットがあります。例えば、公募価格20万円で購入したIPO株を初値50万円で売却した場合、差額の30万円は売却益として譲渡益税が6万945円かかります。しかし、NISAでIPO株を購入し売却した場合は、売却益にかかる譲渡益税を非課税にできるメリットがあります。

IPO投資の始め方について(手続き)

IPO投資を始めるには、まず証券口座を開設する必要があります。現在はネット証券だけではなく、大手証券会社であってもネット口座の開設を郵送無しのオンラインで行えます。開設の手軽さという点では、ネット証券と窓口証券の差は小さくなってきています。

証券口座を開設する際は「本人確認書類」と「マイナンバー確認書類」の画像またはコピーが必要となります。口座開設の方法は証券会社ごとに異なるので、詳細は各証券会社のホームページでチェックしましょう。

なお、IPO抽選の当選確率を上げたい方は、複数の証券口座を開設するのも手です。複数の証券会社で口座を開設したことが原因で、証券会社の審査により口座開設が不可となる可能性は非常に低いのでご安心ください。ただし、NISA口座は1人1口座までしか開設できませんのでどの証券会社に開設するかはじっくり検討する必要があります。

NISA口座はネット証券で開設している人が多いようです。その理由は手数料の安さにあります。販売手数料無料など、投資を続ける上でかかるコストの低さは現在、ネット証券のほうが店頭証券と比べて優勢です。自身の居住地による不都合がないのもネット証券のメリットといえます。店頭証券の場合は自身の居住地が変わった場合、引越し先に支店がないなどした際は証券会社の変更を検討せざるを得ないかもしれません。一方のネット証券は居住地の変更による影響はほぼないでしょう。もちろん、取扱商品のラインアップも含め適した証券会社を選ぶことが大切です。

開設した口座を頻繁に変更する人はあまりいないと思いますが、NISA口座の場合は年に一回の変更が認められています。とはいえ、金融機関変更の手続きは手間がかかります。手数料メリットや使い勝手を十分に比較し、自身の投資スタイルにあった金融機関で口座を開くようにしましょう。

口座開設が完了次第、IPO抽選申し込み日にすぐに抽選に応募ができるよう準備をしておく必要があります。
口座開設の手続き完了後に、まずは証券会社のインターネットサービスにログインをし、どのような流れでIPOの抽選に申し込みができるかチェックをしましょう。実際に投資を行うかは別にして、サービス画面には定期的にアクセスしておきたいものです。画面操作に慣れておくことで、いざ投資をしようとした際に操作に不慣れだと、不必要なストレスとなります。

また、抽選申し込み前に資金の入金が必要な証券会社の場合は、必要資金を入金することを忘れてはいけません。

IPO投資を始めたいなら今すぐ口座開設


近年のマーケット状況を見るとIPOは、公募価格に対して初値が高くなる傾向にあるため人気の投資対象となっています。
ただし、IPOで株式を購入するには抽選に当選する必要があり、当選率を上げるには証券会社選びが重要となります。

本記事で紹介した「IPOの側面で考える証券会社選びのコツ」を踏まえ、どの証券会社に口座を開設するかを選ぶようにしましょう。

なお、より当選率を上げたい場合は複数の証券会社で口座を開設するのも一つの手段です。また、当選したIPO株式を売却する際には国内株式の売買手数料がかかります。そのため、証券会社ごとの手数料も比較する必要があります。

できるだけ早くIPO投資を始めたい方は、しっかりと証券会社を比較したうえで、今すぐ口座開設をするようにしましょう。
 

>>その他のおすすめ記事
滝川クリステルさんが1.5億円保有する「国債」ってどんな商品?
【連載#2】3億円失う人も…”億り人”で居続けることの大切さ
【連載#3】100万円を4,000万円にする「マーケットの渡り方」
【連載#4】忙しいビジネスマンでも株で“億り人”になれるワケ
総資産を1億にする資産運用法とは?