投資・資産運用
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2020.5.5

【連載#3】小口の不動産投資として大人気J-REITの魅力に迫る

分配金利回りが高いJ-REITも、基準価額(株価のようなもの)が下がってしまえば損失が発生してしまいます。ですから、今後、J-REIT市場がどのように動くのかの予測はとても大切です。なお、年初には著名なアナリストが2020年のJ-REIT市場を13.1%の総合リターンと予想しています。
 

大手証券会社のアナリストたちが堅調な2020年相場を予測

J-REITの価格は東証での投資家の売買動向によって日々刻々と変動します。平均3%台後半の高い利回りは魅力的ですが、株式や投資信託と同じように元本保証がありません。このため、今後のJ-REIT市場について、どのような展開が考えられるか知っておきたいものです。

東証で取引されるJ-REIT全体の値動きを示す東証REIT指数は2003年3月末を1000とした指数です。リーマンショックで世界的に金融市場が混乱した2008年11月に683.38まで急落。昨年10月には2262.32と底値から3.3倍に上昇しました。2007年5月に付けた史上最高値2636.23が見えてくる水準です。

J-REIT市場分析の専門家として知られる、みずほ証券のシニアアナリスト大畠陽介氏が今年の相場について1月6日付でリポートを発行しています。表題は「2020年は13.1%の総合リターンを予想」です。

リポートでは、今年も高利回り資産を追い求める流れがJ-REITを動かすと予想。世界的な金利低下が追い風になった昨年ほどではありませんが、2020年末の東証REIT指数は2350と昨年末比で1割近い値上がりが予想され、これに分配金が加わって13.1%の利益になるとの見立てです。ただ、予想の前提は米国の長期金利が2%未満で推移すること。米国長期金利が2%を超えて上昇を続ける場合は「下振れリスクに注意が必要だろう」としています。野村証券も年明け発行のリポートで、世界的に金利が上がりにくい環境になっていることを指摘。「2020年もJ-REIT相場が堅調に推移する可能性はある」としています。

このように、専門家はJ-REITにとって金利の動きを重視していることがわかります。特に米国の連邦準備制度理事会(FRB)が決める米ドルの政策金利は世界の金融市場に大きく影響します。FRBは昨年10月にかけて政策金利を3回にわたって引き下げました。金利を下げて投資や融資を促し、景気減速を予防するのが狙いです。今年は11月に米国大統領選があるため、FRBは金利を低水準で維持するとの見方が多く、金利上昇が大敵のJ-REITには好都合です。
 

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分配金利回りの優位性は変わらず。懸念材料は東京五輪後の不動産市況

日本では、消費者物価上昇率が2%になるまで低金利政策を継続すると日銀が宣言しています。このため、日本円の大幅な金利上昇を本気で恐れる雰囲気はうかがえず、預貯金などと比べた分配金利回りの優位性は揺らがないと考えられます。

しかし、今夏の東京五輪・パラリンピック後を不安視する声も聞かれます。五輪後は大型公共投資が一巡し、訪日外国人客も減少して景気や不動産市況が冷え込みかねません。東京都心部のオフィスビルやホテルの建設ラッシュで、オフィスやホテル客室が慢性的な不足から供給過剰に転じれば、オフィスやホテルに投資するJ-REITは値下がりするでしょう。また、地価が上がり過ぎると新たに物件を取得する費用が増えるので、J-REITにとって将来の分配金低下要因になります。五輪後の景気減速が取り越し苦労に終われば、J-REITの値上がり期待はさらに高まりそうです。

どんなに有能な専門家であっても金融市場の予想を100%的中させることはできません。J-REITに限らず、絶対に当たる予想を探し求めるのではなく、「値下がりしたら買い増す」「値上がりしたら3分の1だけ売る」など、局面に応じてどう行動するかを考えておくことが投資家にとって大切です。


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