投資・資産運用
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2020.5.11

【銘柄紹介】Alphabet(Google)ってどんな企業?

(画像=Getty Images)
(画像=Getty Images)
みなさんは米国企業「Alphabet(NASDAQ:GOOGL)」ってご存知でしょうか?あまりピンと来ない方がいるかもしれません。

では「Google」という企業はご存知でしょうか?この質問には、きっと全員がうなずくかと思います。

実はAlphabetというのは、Googleやほかのグループ会社の持株会社として設立された企業なのです。

厳密にはGoogleという企業が最初に存在し、創業者のラリー・ペイジが持株会社として「Alphabet」の設立を2015年に宣言しました。

Alphabetの設立によってGoogleはAlphabetの子会社となったというわけです。

本記事ではそんなAlphabetという企業について、投資対象として参考になるような情報を提供していきます。

基本情報

まずは、Alphabetの基本情報をご紹介します。
  • 本社…カリフォルニア州 マウンテンビュー
  • 創業者(Google)…ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン
  • 現在のCEO…サンダー・ピチャイ
  • 上場市場…NASDAQ市場 (シンボル:GOOGLとGOOG)
  • 時価総額…9,270億ドル(2019年12月26日現在。Yahoo!financeより)
  • 決算日…12月31日
  • 発行済株式数…6億4,200万株(2019年12月26日現在。Bloombergより)

概要

2018年通期のAlphabetの売上は、全体の85%以上が広告収入でした。

デジタル広告市場はどんどん拡大されると考えられるため、AlphabetはFacebookと並んで広告ビジネス企業の2強として今後も名を連ねると考えられます。

ですが、Amazon.comもデジタル広告収入を徐々に伸ばし始めているので、競合がさらに増えることが予想されます。

また、2019年12月3日に持株会社Alphabetの原点であるGoogleの創業者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンがAlphabetのCEOを退任し、後任にサンダー・ピチャイが就任しました。

Alphabetの目新しい動きとしては2016年の金融業(銀行業)参入や、傘下の自動運転車開発企業Waymoの開発において、ドライバーなしの無人走行がすでに始まっているといったことが挙げられます。

そんなAlphabetの特徴は、ほかの企業とは違ってマネタイズを急いでいないという点です。

良くも悪くも、イノベーションに専念して研究開発に非常に力を入れています。

一方で、競合となるAmazon.comはマネタイズが上手く、株価もS&P500の収益率を大きく上回っています。

よってAmazon.comと比べるとAlphabetは株としての魅力は少し低そうに思えます。

そこで肝となるのが、12月3日に就任した新CEOサンダー・ピチャイがどのような戦略をとるのかということです。

今後はぜひ、この点に注目してみてください。

業績

では、気になるAlphabetの業績を見ていきましょう。データはすべて「Alphabet Investor Relations」から抜粋しています。
 
(画像=The Motley Fool)

(図1)



図1は、売上高と当期純利益のグラフです。

広告収入の増加に伴って、売上高は年々増加しています。

図1から導き出せる売上高当期純利益率は2018年通期で約22.5%です。

参考として、競合となるAmazon.comは約4%、Alibabaは約21%、Appleは約21%、Facebookは約40%、Microsoftは約31.2%となっています。
 
(画像=The Motley Fool)

(図2)



図2は売上高と売上原価、粗利益率のグラフです。

粗利益率は2015年以降年々低下しています。

ただし2018年時点で56.0%を超えており、決して低すぎる数値ではありません。

この原因となる売上原価の増加は、Google以外に対して注がれているものです。
 
 
(画像=The Motley Fool )

(図3)

 
 
(画像=The Motley Fool )

(図4)



図3は、セグメント別売上高のグラフです。

上記でも触れたように、Googleの広告収入が大半を占めている(図4より2018年通期は85%)ことがお分かりいただけるかと思います。

競合であるFacebookは広告収入が99%を占めているので、その点を比べるとAlphabetは広告収入に依存しすぎずほかの収益基盤も用意されていることが分かります。

またマーケティング調査会社eMarketerの「2019年の米デジタル広告シェア予測」では、Alphabet(Google)が37.2%、Facebookが22.1%、Amazon.comが8.8%となっています。

シェア率はまだ低いもののAmazon.comは広告事業に参入してからの勢いが著しく、いつかはGoogleに追いつくのではとまで言われているのです。

というのも実際、広告主がGoogleではなくAmazon.comに広告を出すケースが増加しています。

理由は、Googleには「知りたい」ユーザー、Amazon.comには「買いたい」ユーザーが集まりやすいからです。

つまりAmazon.comの広告を出した方が購買意欲はあるユーザーの目につくため、売上に直結するということです。

また、Amazon.comはリターゲティング費用を支払う必要がないといった面でも広告主にメリットがあります。

というのもAmazon.comは「最近買った商品」が表示されるので、広告主が広告を下げてもユーザーの再訪問を促すことができるのです。

一方でGoogleは、ユーザーの再訪問を促したい場合には広告主が再度リターゲティング費用を支払う必要があります。

このような理由から、広告主はGoogleからAmazon.comに移行しつつあるのです。

Alphabet(Google)がこの点にどう対処していくかが着眼点となりそうです。
 
(画像=The Motley Fool)

(図5)



図5は、営業費用の内訳を示したグラフです。

Alphabetは1998年創業当初(創業時はGoogle)に自社について「検索の企業ではなく、AIの企業である」と語っていました。

なんと、これまでの広告中心のビジネスは、すべてAI開発のためのデータ収集を目的とした中間フェーズだというのです。

今後はついにAI開発を中心に本格始動するということから、研究開発費が増加しているということになります。
 
(画像=The Motley Fool)

(図6)



図6は、地域別売上高のグラフです。Alphabetの売上高は、それぞれの地域にうまく散らばっています。

ですが2018年にGoogle ウォレットから移行したGoogle Payがインドにて月間ユーザー6,700万人を超えたことを受け、今後高度経済成長を迎えるのであろうインドのユーザーを囲い込んでいることから期待が高まります。

以上が、Alphabetの業績についての解説になります。

金融業への参入

上記でも少し触れましたが、Alphabetは2016年に金融業へ参入しました。

というのも金融業は、市場が大きいにもかかわらずシステム管理コストや人件費が最適化されておらず、テクノロジーの導入が遅れていたのです。

参入障壁の高さや技術の進歩具合から、古くなっていたビジネスモデルを最近になりAlphabetなどのテック企業がイノベーションを起こすときが来たということになります。

たとえばAppleはゴールドマンサックスと連携して、「Apple Card」というクレジットカードを開発し金融業への参入を試みています。

ほかにもFacebookは暗号通貨のLibraを開発するなど、イノベーションはどんどん顕著となっているのです。

Alphabetは具体的になにをするのかというと、Googleがシティグループと連携して銀行業務の展開を予定しています。

ただしGoogleは銀行業の免許を取得していないので、厳格な銀行業(利ザヤビジネス)はシティグループがおこないGoogleはユーザーのデータ収集を主におこなうとしています。

インドではGoogle Payの普及によってユーザー基盤ができているので、大規模なデータ収集が期待できそうです。

クラウドゲーム「Google Stadia」

最近では、従来のアプリゲームが「クラウドゲーム」という形でイノベーションされていることをご存知でしょうか?

これまでゲーム事業におけるマネタイズはゲーム内の課金や広告にておこなわれてきました。

ただし、クラウドゲームはサブスクリプション(月額課金制)となっています。

イメージとしては“ゲーム版Netflix”というと分かりやすいでしょう。

つまりユーザーは月額を支払うことにより、低価格でさまざまなゲームをストリーミングで利用できるというメリットがあります。

ただし、クラウドゲームにもデメリットはあります。

というのも、ストリーミングで利用する場合は利用データを保存することはできません。

つまり、もしそのゲームのサポートが終了してしまったら、その後はそのゲームで遊ぶことはできなくなるのです。

また、たまにタイムラグが発生することもあるので、ゲームの種類によっては不便を感じることもあるかもしれません。

実際、11月にプレリリースされたクラウドゲーム「Google Stadia」にてタイムラグが発生し、ゲーム評論家からは不評でした。

ストリーミングはデータセンターでデータを処理する必要があるので、タイムラグが発生するのはやむを得ないとはいっても、ゲームにおいては致命的なデメリットであるといえます。

またAppleの「Apple Arcade」、Microsoftの「X Cloud」、Amazon.comの「Twitch」などが競合です。

価格・ゲーム数・タイムラグ発生率などで比較のうえ、ユーザー数がどれに傾くか注目しましょう。
 

自動運転開発企業Waymo

Waymoは、2016年12月にGoogle内の自動運転開発事業がスピンアウトしてきた企業です。

CEOはジョン・クラフチックです。

2009年から上記事業を実施しており、2018年12月5日にはアリゾナ州 フェニックスでライドシェアリング(タクシー)を実施しました。

そのときは安全面を考慮してドライバーが同乗していましたが、2019年11月1日にテストとしてドライバーなしの無人走行が始まりました。
 

クラウドコンピューティング「Google Cloud Computing(GCP)」

Googleはクラウドコンピューティング「Google Cloud Computing(以下:GCP)」を展開しています。

クラウドコンピューティングのシェアは2018年通期で、Microsoft「Azure」が13.8%、Amazon.com「AWS」が13.2%、IBM「IBM Cloud」が8.8%、Google「GCP」が5.6%、Salesforce.com「Chatter」が5.0%ということがわかっています。

GCPのサービスの1つである「G Suite」の売上が伸びているのですが、上位3位を追い抜くのはなかなか難しそうです。

まとめ

本記事ではAlphabetについてご説明してきました。

Alphabetは良くも悪くもマネタイズを重視していない企業であることが分かります。

だからこそ、金融業への参入やクラウドゲームの開発、自動運転開発など紆余曲折しながらもさまざまな行動をとって業界にイノベーションを起こし続けているたいへん頼もしい企業なのです。

現時点では利益はついて回らないかもしれませんが、マネタイズを意識せず失敗を恐れずイノベーションを起こした先の数十年後には、大きな利益が見込まれるかもしれません。

そういった長期的な利益を想像して、Alphabetを投資対象として検討してみてはいかがでしょうか?

文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan


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