老後の生活を年金だけで賄うのは難しいという趣旨の金融庁のレポートが話題になりました。
その影響もあり、ネット証券に口座を開業する人も増えています。
老後の糧になる資産を築くために投資をすることは大切だと分かっていても、何からはじめれば良いのか分からない人も多いのではないでしょうか。
大手ネット証券のメインページを開くと、日本株・外国株・先物・CFD・投資信託・FX・・・と種類が多すぎて迷ってしまうほど選択肢があります。
そこで老後の資産を賄うための投資5選をご紹介します。
それぞれの置かれた状況やリスク許容度にあう投資を選ぶ参考にしてください。
1:預貯金
預貯金は金融機関にお金を預け入れることです。
実は預貯金も銀行に預け入れることで利息を受け取る投資の一部です。
預貯金には満期日までは原則解約できない代わりに、利息が高い定期預金などもあります。
預貯金のメリットは1,000万円までの預金と金利の元本保証があることです。
定期預金でなく通常の預金であれば自由に下ろすことでもできるため、流動性も高く大きく損もしづらいため預貯金は手堅い運用法です。
特にデフレ・円高の時代は下手な投資をするよりも、預貯金で日本円のキャッシュポジションを積み重ねるほうが良かったということも珍しくありませんでした。
しかし預貯金にもデメリットがあります。預貯金はインフレに弱いのです。
額面では変わらなくても、インフレで物価が上がると相対的に現金の価値が下がります。
例えば、100円で買えた卵がインフレで200円になったら同じ100円では卵を買えなくなってしまいます。
つまり購買力という観点からみると損をしているのです。
特に日本政府は現在、インフレ率を高める金融政策を実施しています。
日本は少子化も進んでおり、人手不足のため人件費高騰、人口減少による国力低下による円安で、輸入品が割高になるコストプッシュインフレも起こり得ます。
インフレヘッジをせずに預貯金をしておけば安心とは今後言い切れない時代です。
2:不動産投資
不動産投資は何らかの不動産物件を購入し、第三者に貸して家賃を受け取る投資法のことです。
不動産そのものの値上がり益に期待して売買するのも不動産投資に含まれます
不動産投資のメリットは、比較的安定している家賃収入、相続対策、インフレ対策、所得税・節税対策などが挙げられます。
不動産は投資で得た収入がローン金利、都市計画税など必要経費が差し引かれたり、赤字を他の所得と損益通算できるなど工夫次第で様々な施策をとれます。
また投資した現物の不動産は賃貸にするだけでなく、住居にするなど様々な用途で使えます。
一方でデメリットは、空室リスクや売りたくても買い手が見つからない流動性リスク、ローンで不動産を購入した際の金利が上昇する金利リスクなどがあります。
日本は現在、少子化・高齢化が進んでおり、空き家も増えている状況です。
また不動産投資は基本的に物件1件あたりの購入額も大きいため、分散投資にも不向きです。
3:日本株投資
投資の中でも日本株は身近な資産運用の一つです。
日本市場は世界的に見ても時価総額の大きい市場で、米国・中国に次いで3位の大きさです。
日本株のメリットはインフレヘッジになる、国内の企業に投資をするため日本語で情報を得やすい、株主優待などの特典もあるなどが挙げられます。
一方で日本株のデメリットは個別銘柄を選ぶための知識が必要、日本の資産なので日本の国力の低下など日本のカントリーリスクを分散できないなどが挙げられます。
個別銘柄の業績悪化などもあるため、株投資の基礎的な知識などは必要になります。
日本株は日本人には親しみやすい自国の企業の銘柄に投資できますし、日本語で情報を得やすいため取り組みやすい資産運用ですが、日本のカントリーリスクを分散させることはできません。
4:外国株投資
外国株と一口に言っても、米国株のように世界的なグローバル企業や成長ステージの異なる新興国の株まで様々です。
外国株に投資対象を広げれば、日本株にはない魅力や強みのある銘柄に投資できるようになります。
また外国株はカントリーリスクを分散できるところにも強みがあります。
日本人の多くはGoogleの検索エンジンを使い、Netflixで動画鑑賞を楽しみ、P&Gなどの生活用品を当たり前のように使っていいます。
既に消費生活では海外の企業のものを使っているのに、投資だけ日本に固執する理由はあるのでしょうか。
一方で外国の株は情報収集が日本株よりも少し面倒、取引できる銘柄に制限がある、国によっては日本株よりもリスクが高い(特に新興国)、取引手数料が割高などのデメリットもあります。
しかし最近では日本の外国株投資の環境も整ってきており、デメリットが小さくなってきています。
5:投資信託
投資信託は、多数の投資家から集めたお金を資産運用の専門家が代わりに株式や債権などに運用する金融商品です。
大きく分けて裁量で運用されるアクティブ型と、インデックスなどに連動するパッシブ型に分けられます。
投資信託のメリットは少額からでも投資をはじめられる、投資信託そのものが分散投資されて運用されているため少額で分散投資が実現できる、個人では難しい国や地域に投資できる、個人では難しいポートフォリオを組めるなどです。
投資信託のデメリットは、信託報酬と呼ばれる持っているだけでもかかる手数料、あらかじめ決められた金融商品の組み合わせのため、アセットの組み合わせに拘りがある人の中には不満を感じる人もいるところです。
しかし最近の投資信託は信託報酬が安く、良心的な構成のものも増えています。
NISAやiDeCoを利用して税制の優遇を受けよう
NISAとiDeCoは税制優遇措置のある制度です。NISAとiDeCoで取引できる銘柄は限られています。
また投資できる限度額や買い換えがしづらいなどの一般の口座にはない性質もあります。
NISAもiDeCoも長期投資での運用を前提としています。そのため長く持っておける投資対象を選ぶべきです。
ただしiDeCoは拠出した掛け金を下ろせるようになるのが原則60歳以降です。言い換えれば流動性に難があります。急にお金が必要になった時にも手をつけることはできません。
またiDeCoの税制優遇措置が今後改悪されたとしても下ろすことができないため、有り体に言えば梯子を外されてしまう可能性もあります。(iDeCoの積立金受け取り時の退職所得控除が減額されるなど)
先物・CFD・FXは短期トレーディング向け
先物・CFD・FXはどちらかといえば短期のトレーディング向けです。
先物は限月という取引期限があります。またCFDはポジションをとると金利を負担しなければいけないケースもあります。
FXも外貨預金よりは手数料やスプレッドも有利ではありますし、レバレッジをかけない運用なら長期でも良いのですが、レバレッジをかけると大きな値動きがあったときに証拠金不足に陥るため長期運用しづらくなります。
まとめ
老後のための資産運用をご紹介しました。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自身のリスク許容度にあった運用を心がけましょう。
ただ日本は現在、国策でデフレからインフレになるように舵をとっています。
円高・デフレで有利だった日本円の預貯金はインフレに弱いため、インフレヘッジできる資産をなんらかの形で持っていると良いでしょう。
またNISAやiDeCoなどの税制優遇措置もうまく活用していきましょう。
文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan
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