投資・資産運用
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2019.10.23

ブレグジットで揺れる英国。それでもロンドンの不動産投資が期待できる理由

(写真=Melinda Nagy/Shutterstock.com)
(写真=Melinda Nagy/Shutterstock.com)
ボリス・ジョンソン氏が首相になり、今度こそ英国が「ブレグジット」(Brexit)するという見方が強まっています。日本の投資家の間では、「そうなったときどうなるのか?」と心配する声が高まっています。ところが、現地ではまったくそんなムードはありません。不動産業者は、「これからもロンドンの不動産は上がる」と強気です。なぜなのでしょうか?

意外にも楽観的な英国民と金融関係者

ジョンソン新首相は、これまで「合意なき離脱(No-deal Brexit)も辞さない」と主張してきました。そのため、強硬離脱派とされています。しかし、彼自身は意外にも「現実派」で、EU側とうまく交渉できるという見方が、ロンドンで広がっています。

また、離脱でEUルールから解放されたほうが、縛りがなくなって英国は自由になるという見方もあります。そのため、ロンドン市民はかえってブレグジットを歓迎しているのです。

では、ブレグジットを最も懸念してきたとされる金融界はどうでしょうか?シティのあるバンカーはこう言います。

「こうなってみると、英国がユーロに参加しなかったことは正解です。ポンド安にはなりましたが、それがかえって投資先としての英国の魅力を高めました。また、当初は3月末にブレグジットが見込まれていたので、すでにそれを視野に入れた対応を進めています」

むしろ打撃を被るのはEUのほうという声も

英国は対EUでは、大幅な貿易赤字国です。つまり、ほとんどのEU加盟国は英国との貿易で黒字を稼いでいます。とすると、ブレグジットで痛手を被るのは、EUのほうという見方も成り立ちます。

EUの盟主はドイツですが、ドイツは大幅な貿易黒字国です。ところが、この黒字のほとんどはEUの域内貿易で稼いでおり、ユーロマジックによる黒字という見方があります。EU内ではユーロの導入で、為替調整が行われないので、常にドイツに有利になるのです。したがって、英国のブレグジットは、深刻化しているドイツの不良債権問題を浮かび上がらせるとも言われています。

実際、ドイツ銀行はこのところずっと、破綻の危機がささやかれています。2019年7月24日に発表されたドイツ銀行の2019年4~6月期決算は、純損益が31億9,000万ユーロ(約3,800億円)という大幅な赤字でした。

なぜ、英国に不動産投資すべきか?その理由

こうした見方を背景に、いま、ロンドンの不動産業者は強気です。ロンドンで30年以上、不動産業を営み、日本人投資家にも物件を売ってきたある業者はこう言います。

「私の経験では、英国市場が落ち込んだのは30年間で2度だけです。1992年のポンド危機のときと2016年の国民投票でブレグジットが決まったときです。しかし、それは短期間だけで、ならしてみるとロンドンの不動産は30年間で6倍になっています。10年で2倍という感じです。今後もこれが続くと思います」

ロンドンでは、世界の富裕層が邸宅を構えています。彼らがロンドンから出ていく兆しはありません。また、こうした富裕層向け物件は値上がりが続いています。新築物件も好調です。ロンドンでは各区役所が新築物件建設の許可書を業者に出していますが、件数が多すぎて間に合わない状況が続いているといいます。
 

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ロンドンの不動産投資が今後も期待できる8つの理由

それでは、ロンドンの不動産投資が、今後も期待できる理由を列記してみましょう。

1.国際金融センター(オフショア)の地位は揺るがない

EUから離脱してもロンドンの世界金融センターとしての地位は揺るぎません。世界中から富裕層も集まります。

2.外国人比率が5割を超える国際都市

ロンドンの人口は860万人で52%が人種的には外国人です。旧植民地から来た永住者やヨーロッパ各地から来た人々が英国人と一緒に暮らしています。このような国際都市は活気があり、豊富な住宅需要があります。

3.持ち家比率が80%と非常に高い

英国は持ち家比率が80%と、世界的にも非常に高い国です。英国人は一生に平均して8回ほど、家族構成や、所得、年齢の違いによって家を買い替えます。日本は持ち家率が60%位で、買い替えはほとんどありません。

4.住宅価格が下がらない仕組みがある

英国では住宅の価値は建物が70%位、土地が30%位の比率です。それゆえ英国人は、建物の増築をして家の価値を上げ、購入時より高い価格で売却します。このような循環は今後も続いていきます。

5.値上がりした物件を担保に再投資できる

英国では、住宅を購入する際には、まず金融機関などから借入れを行い、買った不動産を担保に出します。日本と異なるのは、その後担保不動産の価格が上がると、その分で生まれた担保余裕額を基にして、追加で借入れを行うことができることです。つまり、再投資が可能なのです。

6.世界一透明性のあるオープンな市場

英国の不動産市場は世界一といっていい透明性のあるオープンな市場です。誰でも3ポンドほどで、ネットの不動産登記情報にアクセスすることができます。物件の住所さえわかっていれば、所有者や購入価格、購入日、ローンの設定など、すべての情報が入手できます。そのため、不動産はオープンマーケットでの売買が一般的となっています。

7.安心して物件を購入ができる

不動産売買の手続きは、売主と買主が双方にソリシター(事務弁護士)を立てて行うのが慣例になっています。そのため、時間がかかりますが、中古物件でも安心して購入できます。

8.不動産取得税や固定資産税がない

英国では、物件購入に際して、不動産取得税や固定資産税はかかりません。また、ロンドンの区民税は物件に住むテナントが支払い、家主は支払いません。

以上、8つの理由を述べました。ただ、1点だけ、知っておくべきことがあります。それは、ロンドンの非居住者は、英国の金融機関で住宅ローンを借りられないということです。ですから、物件購入は現金になります。ただし、日本にある物件を担保にすれば、日本の銀行から住宅ローンを借りることはできます。

文・山田順(国際ジャーナリスト)/ANA Financial Journal
 

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