指数との連動を目指すことや、運用のプロが投資家の代わりに投資をする点など、ETF(上場投資信託)とインデックス型の投資信託は共通する特徴があります。では、どういった点を踏まえて両者を選び分ければよいのでしょうか。
売買取引のしやすさ
まず、取引できるタイミングや積立投資のしやすさの違いをみていきましょう。
機動的な売買取引を重視するならETF
ETFは株式と同様に取引所に上場しているため、取引時間内ならいつでも好きなタイミングで売買できます。そのため相場を見ながら、自分で売買価格を指定する指値注文や市場にお任せする成行注文が可能です。
一方、投資信託は注文時の段階ではいくらで購入できたかは確定されず、指値注文はできません。証券会社によって異なりますが、一般的に国内へ投資するファンドなら売買が成立した約定日当日、海外へ投資するファンドなら翌営業日以降の基準価額をベースに計算されます。
相場をみて、少しでも相場の底を狙いたいという人はETFのほうが有利といえます。
定額投資は投資信託のほうがしやすい
ETFの最低買付金額が市況によって変動しているため、あらかじめ決めておいた定額の予算で、毎月積立感覚で買えないことがあります。また一部の証券会社では「るいとう(株式累積投資)」という定額の積立サービスに対応していますが、自分で購入するよりも手数料がかかります。
投資信託は毎月一定額を買付ける定額積立ができます。ネット証券によっては100円からの買付に対応しているため、少額での投資のしやすさという点でも投資信託に軍配があがります。
コストの違い
コストは売買と運用中とでそれぞれ特徴が異なります。
どちらも売買手数料が無料の商品がある
ETFは株式と同様に取引の度に売買手数料がかかります。証券会社や商品によっては売買手数料が無料の場合もありますが、頻繁に売買したい人は注意しておきたいポイントです。また海外の資産に投資するETFの場合、取引手数料が発生します。例えば大手ネット証券の場合、米国ETFの1取引について、約定代金の0.45%(税抜)の手数料がかかります。
投資信託はインデックス型なら、ネット証券で購入する場合、購入時の販売手数料が無料(ノーロード)の商品が主流となっています。ただし解約時に信託財産留保額という手数料が差し引かれる商品も多いため、事前にチェックしておきましょう。
運用中のコストは若干ETFが有利
売買にかかる手数料だけでなく、運用中はETFも投資信託も運用会社などに支払う信託報酬がかかります。かつてはETFのほうが低水準でしたが、近年はインデックス型の投資信託も信託報酬の値下げが相次ぎ、以前ほどは差がありません。例えば信託報酬が最低水準のTOPIX連動型の商品を比較した場合、ETFは0.06~0.08%前後、インデックス型投資信託は0.14~0.16%前後となっています(2019年8月8日現在、税抜)。
コスト面はETFと投資信託の差よりも、商品別に優劣の判断をするのが賢明といえそうです。
非課税制度の対象商品は投資信託のほうが豊富
中長期投資に有利な非課税制度であるiDeCo(イデコ)とつみたてNISAにおいては、両者の取扱いの有無や本数に違いがあります。まず、iDeCoは主に投資信託を対象とし、ETFは対象外。つみたてNISAは制度の対象となるETFが3本だけなのに対して、インデックス型の投資信託は143本と大きな差があります(2019年7月22日金融庁発表データより)。
税制メリットを活かした投資においては、投資信託のほうの選択肢が豊富な状況となっています。
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保有中のコスト重視ならETF、コツコツ積立投資なら投資信託
以前と比べると優位性は低くなりましたが、運用中にかかる信託報酬はETFのほうがまだ有利な状況といえます。長くじっくり運用する想定なら、低コストのETFを必ずチェックしておきたいところです。
一方で、インデックス型の投資信託はiDeCoやつみたてNISAなど非課税制度の活用性の高さが魅力です。定額投資のしやすさも含めて、コツコツ積立で投資したい人に向いているといえそうです。
ETFと投資信託はそれぞれの長所を踏まえて選び分けましょう。
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