経済・マーケット
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2019.5.13

お金から見る「世界のアート市場」過去最高落札金額の絵画はいくら

(写真=Gilmanshin/Shutterstock.com)
(写真=Gilmanshin/Shutterstock.com)
2018年は、アートファンにとり「豊作年」となりました。東京都美術館における『ムンク展-共鳴する魂の叫び』では、版画を除くと4点現存する「叫び」のうち、日本初展示となったオスロ市立ムンク美術館の所蔵作品(1910年制作)が大きな話題を呼びました。同時並行で日本美術展史上、最大の「フェルメール展」も上野の森美術館で開催され、わずか35点とされる希少な現存作品のうち、国内過去最多の8点が展示されました。

同展は東京で約68万人を動員した後、2019年2月から大阪市立美術館に場所を移して、引き続き多くの来館者を引き付けています。このように日本での美術熱は冷めることがありませんが、日本や世界のアート市場は、どのくらいの規模なのでしょうか。オークションで落札された絵の最高金額は、いくらくらいなのでしょうか。お金の観点から美術を「鑑賞」してみましょう。

発展の余地が大きい日本市場

2018年4月の文化庁発表の資料によれば、2017年における日本アート市場の規模は2,437億円と、同年の世界アート市場の637億ドル(約6兆7,500億円)と比較して、まだまだ発展の余地があります。国別のシェアでは、第1位が米国で42%(2兆8,400億円)。中国がその半分の21%(1兆4,200億円)で第2位、競売が盛んな英国が中国と同規模の20%(1兆3,500億円)で第3位となっています。

これに対し、日本のシェアは3.6%(2,437億円)に過ぎません。わが国の国内総生産(GDP)が世界第3位で米国の約26%、中国の約44%であることに鑑みれば、さらなる活性化が期待されます。また、特筆されるのが、裕福層向けアート市場発展の可能性です。クレディスイスの2017年の分析によれば、100万ドル以上の資産を持つ人口のトップは、米国の1,536万人(43%)です。

次いで、日本が世界第2位の269万人(7%)となっており、関心を高めてもらうことが、市場規模の拡大につながると予想されます。事実、2017年5月にニューヨークにおいて著名な米国人画家バスキアの絵画作品が競売にかけられた際に、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営する前澤友作社長が高額で落札したことが話題になりました。

前澤氏は、従来のアート投資のように購入した美術品を退蔵して値上がりによる売却益を狙うのではなく、会社に飾ったり、自宅で一緒に暮らす道を選択したりしています。アート市場活性化のひとつの形とも言え、さらなる「前澤社長」の出現が待たれるところです。

美術館の強化と取引多様化がカギ

約2,437億円の日本アート市場は、日本画、洋画、彫刻、版画、現代美術、写真、映像作品、陶芸、工芸、書、掛け軸・屏風などを含む数字です。これに加えて絵画の複製や美術書、アートをモチーフにしたグッズなどの「美術品関連市場」が306億円規模。さらに、美術館の入場料やアートプロジェクトにかかわる消費などの「美術関連サービス市場」が517億円となっています。

文化庁では、これら市場活性化の方向性として、優れた美術品がミュージアムに集まる仕組みを構築。また、美術品流通の促進やコレクター数を増加させることを目指しています。そのために、重点的な施策を行う「リーディング・ミュージアム」の形成を提唱し、学芸員の増強、美術インフラ整備や大型イベント招致のセンター的な役割を担わせようとしているのです。

また、民間においてもアート作品を共同保有するプラットフォームの「アートゲート」が立ち上げられ、小額からでも作品を購入できる仕組みが注目を浴びています。作品の「オーナー権」を買った人は、プライベートな作品鑑賞会や展示パーティーに参加できる仕組みです。テクノロジーを利用した「シェアエコノミー」によるアート市場規模の拡大につながるのか、期待が高まります。

日本では2019年にもゴッホ、マネ、ルノワールなどの1級作品に触れることのできる美術展の開催が目白押しです。アートの保有や投資への関心も同時に高まる1年になるでしょう。
 

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