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2020.9.23

ニューノーマルってなに?コロナショック後に起こりうる新しい日常について解説

(画像=Getty Images)
(画像=Getty Images)
ニューノーマルとは2008~2009年頃にエコノミストのモハメド・エラリアン氏によって提唱され、リーマン・ショック後の世界経済において、特に米国経済について、景気が回復したとしても以前のようには戻らないことを「ニューノーマル」と呼んでいました。

ニューノーマルは「新常態」と訳され、近年では、経済政策が後戻りできず、構造的な変化が避けられないことを指すようになりました。

例を挙げるならば、2014年、中国にて習近平国家主席が中国は「新たな常態」に入りつつあると述べたことから、米国のみならず、世界各国でもニューノーマルに相当するか否かが話題になったことがあります。

ちなみに2014年の中国の「新たな常態」とは3つの期間が重なったことを指し、経済成長速度のギアチェンジ期、構造調整の陣痛期、4兆元の景気対策の消化期を挙げています。

リーマンショック後のニューノーマル

まずは、ニューノーマルの定義にもあるように、リーマン・ショック後のニューノーマルについて見てみましょう。

リーマン・ショック後の米国の経済政策の問題として以下のようなことなどが挙げられました。
  • 失業率の上昇
  • 金融バブルの抑止対策
  • 金融政策の政府による干渉
  • 中国をはじめとする先進・新興国による影響
失業率の増加は、企業が金融・不動産などの負債を抱え込み、肥大化した資産を縮小させるために、さまざまな業界でコスト削減が進められました。

よって、これに伴って人材コストも削減された結果、失業率の上昇(ピーク時は2009年10月10.0%)を招きました。

金融バブルの抑止対策では、2010年夏にはドット・フランク法をはじめとして、金融規制の強化が行われました。

米国に属する銀行は、デリバティブや商品先物の取引を規制したり、未公開ファンドやヘッジファンドへの出資することを制限されることになりました。

金融政策ではリーマン・ショック後、米国政府による景気刺激対策が活発化しました。

特にQE(量的緩和政策)は第三弾(QE3)まで2008年12月から2014年10月まで実施されています。

QEはそれ単体が実施されても、その後の新たな出口戦略を実施しなければ、後の好景気が訪れたときに景気加熱によってインフレを伴ったり、再び資産バブルの発生を促してしまうため、QE後の問題をどう対策するが新たな問題ともなっています。

コロナショック後のニューノーマル2.0

エラリアン氏は「ニューノーマル2.0」として、リーマン・ショック後の世界経済同様にコロナショックから回復した時後、今までとは全く違う世界経済の光景であることに懸念しています。

ニューノーマル2.0ではどのようなことが予想されるのでしょうか。

インタビューでエラリアン氏は次のような2つにあると主張しています。
  • 脱グローバリゼーション
  • 脱リージョナリズム
脱グローバリゼーションでは、感染拡大が急速に広まった背景にはグローバリゼーションがあります。

特に被害の大きかった欧州諸国では、国境検査なしで国境を超えられることが許可されているのも一つの原因だったかも知れません。

そのような中で、コロナに対抗するために国際協力の重要性が説かれました。

しかし、一方で今回のショックの原因が中国発であるとする米国の主張のように、国家間の対立も生じました。

脱リージョナリズムでは、まず、リージョナリズムについてご紹介します。

リージョナリズム(Regionalism)とは地域主義または地方主義のことをいいます。

複数の国で一定の共通の利害が存在する場合、経済的または軍事的に地域統合が行われますが、例を挙げるならば、EU(欧州連合)やASEAN(東南アジア諸国連合)がこれに当たります。

リージョナリズムはコロナウイルスの感染拡大に貢献した結果、世界中で国境の封鎖が広がり、ロックダウンなどの移動の制限が設けられ、経済活動や外交活動の展開が抑制されてきました。

脱リージョナリズムとは、まさにこれの逆行、つまり、国境の移動制限や封鎖、外交活動の縮小、統合の分断・離脱を指します。

これらのことが表面化してくれば、海外拠点の撤収や世界規模での生産の在り方が変化してくると懸念されるでしょう。

ニューノーマル2.0はすでにこうなると決まっていて、必ず訪れるものではありません。

しかし、包括的な政策を取らなければ、経済成長の原動力は失われ、生産性・効率性は下がり、金融政策は不安定になり、格差社会は拡大し続けることが予想されます。

各国や国際協定での政策対応次第では、かつてリーマン・ショック後に起きたニューノーマルのすべての問題の特徴がさらに際立ってくることがこのように懸念されます。

リーマン・ショック後、特に企業の間では集中と選択がより一層進められました。

そして、その結果、すべてを包括された成長には失敗しました。

事業の一部は企業の戦略によって活かされ、一部は淘汰されたのです。

コロナショックに直面するまで政府や企業はコスト削減・効率性を常に追い求めてきました。

ニューノーマル2.0が起こりうるとすれば、今後はますますリスク回避や困難に直面したときのための余力や回復力が追い求められるのではないでしょうか。

したがって、今後はキャッシュリッチである企業から業績回復していくことが予想されます。

文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan
 

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