経済・マーケット
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2020.9.12

「インシュアテック」で静かに革命が起きている保険業界

(画像=Getty Images)
(画像=Getty Images)
保険業界、特に日本で言うところの損害保険業界で、保険の概念を覆す新たな動きが起きています。

その動きとそのなかでの注目銘柄をご紹介していきたいと思います。

英語では、生命保険はLife Insurance、損害保険はいくつかの分野があるので、まとめて生命保険以外をNon-Life Insuranceということもあります。

今回扱うのは、その中でも火災保険や自動車保険などを扱っている保険会社で、通常Property & Casualty Insurance(短縮してP&C)と呼ばれます。

今回はこのP&Cにフォーカスを当てます。

ある意味、このP&Cはとてもつまらない業界でもありました。

自然災害、特にハリケーンなどが起こらない平和な時期が続くと、保険料は下押し圧力にさらされ、ハリケーンが起きて保険金を払うと、保険料を引き上げるので、その後しばらく収益性が上がるというサイクルを繰り返していました。

これをP&Cサイクルと言います。最近では、大きな被害を及ぼす災害も増えてきていたので、P&Cには、ある意味良い流れでもありました。

損害保険の仕組みと保険料の決め方

そもそも保険の仕組みを簡単におさらいしておくと、大きな母集団の中で対象となる事故(例えば火事)の被害にあう確率と、その被害の金額のデータが十分あれば、翌年、どのくらいの事故が起きる可能性があり、合計でどのくらいの損害額かを推測することができます。

その損害額と、それにかかる経費などの総額を保険に加入している人全体で公平に分担する、というのが仕組みです。

事故が少なければ保険会社の儲け、支払った保険金が想定より多ければ、保険会社の損ということになります。事故の予測と保険料率の決め方がビジネスの肝です。

細かくは、再保険などの仕組みを使ってリスクを分散することで、大きな災害が起きても保険金支払いで会社の経営が揺らいでしまうことが無いようにしています。

この仕組みは、その事故にあう確率が全くランダムで、平等であれば問題ないのですが、ある一定の傾向を持つ人が事故にあいやすい(事故を起こしやすい)ということであると、実は不公平になります。

事故にあいやすい人もそうでない人も同じ保険料では、事故にあいにくい人が、事故にあいやすい人を助けているという構造になってしまいます。

こうした不公平がないように如何に保険料を決めるかが実は大きな課題でもあります。

従来は、データの集積に伴い、統計的な分析により、出来るだけきめ細かく分析することで、その不公平性が無くなるように業界では努力してきました。

インシュアテックの到来

そもそも保険の仕組みを簡単におさらいしておくと、大きな母集団の中で対象となる事故(例えば火事)の被害にあう確率と、その被害の金額のデータが十分あれば、翌年、どのくらいの事故が起きる可能性があり、合計でどのくらいの損害額かを推測することができます。

その損害額と、それにかかる経費などの総額を保険に加入している人全体で公平に分担する、というのが仕組みです。

事故が少なければ保険会社の儲け、支払った保険金が想定より多ければ、保険会社の損ということになります。事故の予測と保険料率の決め方がビジネスの肝です。

細かくは、再保険などの仕組みを使ってリスクを分散することで、大きな災害が起きても保険金支払いで会社の経営が揺らいでしまうことが無いようにしています。

この仕組みは、その事故にあう確率が全くランダムで、平等であれば問題ないのですが、ある一定の傾向を持つ人が事故にあいやすい(事故を起こしやすい)ということであると、実は不公平になります。

事故にあいやすい人もそうでない人も同じ保険料では、事故にあいにくい人が、事故にあいやすい人を助けているという構造になってしまいます。

こうした不公平がないように如何に保険料を決めるかが実は大きな課題でもあります。

従来は、データの集積に伴い、統計的な分析により、出来るだけきめ細かく分析することで、その不公平性が無くなるように業界では努力してきました。

インシュアテックの到来

そうした状況の中で、Fintech(フィンテック)の到来です。

ビッグデータの存在と、AIを含むコンピューターの処理能力の向上で、分析の仕方も変わってきました。

Fintech(Fintech)は、金融におけるテクノロジーという意味ですが、その中でも、保険に特化したものをInsurtech(インシュアテック)と呼ぶようになりました。

Insurance(保険)+Technologyということです。

この動きは日本でも見られますが、もちろん米国が先行しています。自動車保険の例から見ていきましょう。

従来、自動車保険は、年齢、車種などいくつかの項目でセグメント分けして事故率・損害率を統計的に分析し、保険料率を算出します。

そして、更に、事故が無ければ無事故割引や、無事故戻しという形で事故の少ない人の保険料を下げることで公平性を保つ努力がなされてきました。

しかし、これもあくまでも過去の事故の実績データをベースにした保険料率の決定です。

これに対してテレマティクス保険というものが出てきています。

過去の事故の分析データを基礎とするところは変わりませんが、保険を掛ける人が過去に事故を起こしたかどうかではなく、その人の運転の仕方、傾向によって保険料を決める方法です。

データのとり方としては、レーダー・ドライブレコーダー・GPSなどを用いてその人の運転の性向を把握することができます。

タイムズのカーシェアで、その人の運転データが取得されています。

それを集めて保険料算定の基礎にしているような感じです。(急ブレーキ、急発進、最高速などのデータをとっています)

これによって、安全運転を心がけている人は、保険料がより安くなり、乱暴な運転をする人は、事故を起こしていなくても高めの保険料になります。

こうしたことによって何が起きるかというと、優良運転者が集まってきます。したがって、収益性も高くなっていきます。

自動車保険大手のProgressive Corp

米国でこの分野で進んでいるのが、自動車保険大手のProgressive Corp(NYSE:PGR)です。

結果として、PGRのコンバインド・レシオ(Combined Ratio:保険料に占める支払い保険金や経費の合計の割合、すなわち低い方が収益性は高い)は、驚異的に低い86.9%(2020年3月末)です。

業界全体の平均が100%前後で、2019年に99%と久々に100%を切ったという状況です。

100%を越えているということは、保険では儲かっていないということです。資産運用などで稼ぐしかない状態です。

日本の損害保険の雄である東京海上日動火災でも、2016年の90%から上昇し続け、2018年度は102%まで上昇したりしています。

PGRのCombined Ratioの低さは際立ちます。

急成長中のPalomar Holdings

保険の引き受け方(料率の決め方、Underwriting)のうまさで、創業間もないのに急速に業績を伸ばしている企業を紹介します。

Palomar Holdings(NASDAQ:PLMR)です。創業2014年、2019年の4月に早くもIPOをした急成長企業です。(保険会社で急成長企業というのはイメージ沸きにくいかもしれません)

この会社の取り扱う保険は、実は従来、保険会社があまり引き受けたがらなかった分野です。

取り扱っている保険の半分は地震保険です。それ以外にはハワイのハリケーン災害などです。

引き受けの仕方、料率の決め方が業界の常識を覆すくらいきめ細かく分析的です。そこにこの会社の強みがあります。通常、地域別の料率を決めます。

大手の競合他社が3つのゾーンで料率を決めている地震保険を(それ自体は従来の常識からは普通のこと)、なんとPLMRは23,000のポイントに分けて料率を決めています。

分析に使っているモデルや分析手法が非常に進んでいるため、従来より安い保険料で必要な保険を提供できるようになりました。

結果として、先ほどのPGRも驚くような61.6%のコンバインド・レシオです。

この収益なので、市場も見逃してはくれません。上場初日の高値は$20で、直近は$85を超えてきています。(記事執筆時点)

上場初日の高値で買っても1年ちょっとで4倍以上です。

地震保険やハリケーンの保険は、大きな災害が無ければ支払いがないのでコンバインド・レシオが高いのが当たり前で、大きな災害を経験した時にどうなるか、ということが問題になります。

PLMRは大きな災害が来ても耐えられるように、1回の事故で自社が払わなければならない保険金の最大額をかなり低めに抑え、それ以上の額は再保険に出してリスクを落としています。

PGRにしても、PLMRにしても、ビッグデータ、AI、コンピューターの処理能力の向上を背景にした動きです。

実は、今、このインシュアテックと呼ばれている分野でのベンチャー企業が沢山起業しています。

保険会社には、従来そうしたIT系の分野に長けた人材があまりいなかったため、今から人材を集めて開発、という方法では間に合いません。

そのため、インシュアテックのベンチャー企業を買収して一気に損害保険の進化を進めていこうとする動きが出ています。

従来動きがあまりみられなかった保険業界が、にわかに動きだしています。

注目するに値する急成長株もまだまだ出てきます。

文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan
 

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