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2019.3.12

中国企業が海外企業を買いまくる!ボルボに続きメルセデスまで 全6事例を紹介

(画像=Rawpixel.com/Shutterstock)
(画像=Rawpixel.com/Shutterstock)

多数の海外企業が中国企業の傘下となっている。国外への資金流出を制限する政府の圧力から、中国企業による国外企業買収は2017年以降、急激に鎮火したものの、VOLVO(ボルボ)を買収した浙江吉利控股集団(ジーリーホールディンググループ)がダイムラーの持ち株を10%弱にまで増やしたと報じられたほか、ウォルドルフ・アストリア、ゼネラルエレクトリックの家電機器子会社なども中国企業の傘下となっている。またイタリアのACミランといったスポーツクラブまでが、中国人投資家の手にわたっている。自国を代表する国際的ブランドでありながら、中国企業や投資家に買収された6つの例を見てみよう。

アルカディアグループ——売上低迷、破たんに苦しむオーナーから山東如意が買収?


2015年まで日本にも進出していたTOP SHOPは、「英国のリテール産業王」との異名をもつフィリップ・グリーン卿が所有するアルカディアグループの傘下ブランドだ。ミス・セルフリッジやドロシー・パーキンス、バートン・メンズウェアなど20代をターゲットとしたブランドを展開し、世界36カ国・地域に1170店舗をもつ。

グリーン卿と夫人が2002年8.5億ポンド(約1273億円)で買収したアルカディアグループは、2000年代を境に売上が低迷。評価損が1億ポンド(約150億円)を超えところに、2015年から所有していたデパートチェーンBHSが、13億ポンド(約1947億円)の負債とともに昨年破たんした。これによりグリーン卿夫妻の資産は過去数年で4億ポンド(約599億円)減少。アルカディアグループの売却を検討しても不思議ではない状況だ。(ビジネスインサイダー2018年2月19日付記事 )。

一方山東如意は1972年に設立された中国企業グループで、年間売上480億人民元(約8141億円)を誇る テキスタイルおよびアパレル産業の国際リーダー的存在である。ウール・綿加工の世界最大のサプライチェーンのひとつとしても知られる。

グリーン卿は買収の報道を否定しているものの、水面下で交渉が進んでいる可能性は十分に考えられる。

VOLVO(ボルボ)——浙江吉利控股集団が13億ドルで買収、次はダイムラーの筆頭株主に?


スウェーデンを代表する大手自動車メーカーVOLVO カー・コーポレーションも2010年、浙江吉利控股集団に13億ドルで買収されている。設立された1927~1998年まではVolvo グループの乗用車部門だったが、1999年にフォードモーターが60億ドルで買収。2010年、フォードが浙江吉利控股集団に売却することとなった(NYタイムズ紙2010年8月2日付記事 )。

1986年に冷蔵庫メーカーとして設立された浙江吉利控股集団は、1997年以降自動車産業に参入。大手中国自動車メーカーに成長を遂げた。正式な発表はまだだが、過去数週間でダイムラーの持ち株を10%弱に増やしていることが、関係者の話から明らかになっている(ブルームバーグ2018年2月23日付記事 )。

ウォルドルフ・アストリア——安邦保険集団が19.5億で買収、政府が圧力?


1972年からヒルトンファミリーが展開する最高級ホテルブランド、ウォルドルフ・アストリアのニューヨークホテルを買収したのは、中国の保険会社、安邦保険集団だ。2014年に米国ホテル買収史上最高額19.5億ドルで買収が成立した(Consumerist2016年6月27日付記事 )。

安邦保険集団は国外事業の買収に積極的で、ウォルドルフ・アストリア買収以前にも、現在はマリオネット・インターナショナルの傘下にあるスターウッド・ホテルの買収を試みていた。

しかし2017年に入り、国外資産を売却し、売却資金を国内に戻すよう中国当局に迫られるなど、不穏な空気が流れている(ブルームバーグ2017年7月31日付記事)。 

ACミラン——中国実業家が買収、資金繰りで苦戦


中国の実業家リー・ヨンホン氏が、8.72億ドルでイタリアのプロサッカー クラブ、ACミランを買収したのは2017年4月のこと。政府による国外事業買収阻止の圧力が強まったため、共同買収を予定していたほかの投資家は取引から手を引き、ヨンホン氏単独の買収になったとロイターが同年4月17日に報じている 。

しかしヨンホン氏は巨額の買収金を単独で用意できず、買収わずか半年後には共同オーナーの物色に乗りだした。苦肉の策として米国のエリオット・ファンドから1.8億ユーロ(約238億円)の借金をしたため、今年10月までに金利(10%以下)とともに返済できなければ、エリオット・ファンドが実質上の新オーナーとなる可能性も高い。

GE Appliances——GE家電機器子会社、海爾集団が56億ドルで買収


ゼネラルエレクトリックの家電機器子会社GE Appliancesは2016年、海爾集団(ハイアール)に56億ドルで買収された。 GE Appliancesの身売りは売上の低迷が原因だが、買収当初、張瑞敏CEOはIoT分野での開発を強化する戦略などを打ちだし、「今後5年で売上・利益を2倍に伸ばす」と復興に向けた野心をあらわにしていた(サウス・チャイナ・モーニングポスト2017年10月23日付記事 )。

海爾集団は1984年に設立された大手家電メーカーグループで、白物家電ブランド販売では世界一のシェアを誇る。2002年にはハイアルジャパンとして日本市場にも進出している。

ハムレイズ——C.バナー・インターナショナル・ホールディングスが1億ポンドで買収


ロンドンを象徴する老舗のおもちゃ屋ハムレイズの現オーナーは、C.バナー・インターナショナル・ホールディングスだ。ハムレイズは設立1760年という長い歴史を経て、2012年にフランスのLudendoグループに6000万ポンド(約90億円)で買収された。

Ludendoグループは当初から将来的に中国企業に売却する戦略を視野にいれていたようで、2015年、ハムレーズをC.バナー・インターナショナル・ホールディングスに1億ポンド(約150億円)で売却した(フィナンシャルタイムズ紙2015年10月22日付記事)。Ludendoグループはこの買収で相当の利益を上げたことになる。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

 

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