経済・マーケット
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2019.6.24

経営者が考えたいIPOのメリット・デメリット

(写真=leungchopan/Shutterstock.com)
(写真=leungchopan/Shutterstock.com)
新規上場する会社数は、年間どの程度あるかご存じでしょうか。例えば、直近の2018年において東京証券取引所に新規上場した企業数は97社です。つまり、年間100社近い企業が上場の栄冠のもと、記念の打鐘を行っていることになります。ただし、IPOを行った企業ならではの悩みもあるようです。以下ではIPOの概要に触れつつ、そのメリットとデメリットについて解説します。

IPOとはどのようなものか

IPOは、「Initial Public Offering」の略で株式新規公開という意味です。IPOは、企業における資金調達の手段ではありますが、経営者や従業員にとって一つの目標あるいは憧れの対象ともなるものです。日本では、東京証券取引所の各市場への新規上場ということになりますが、上場先は日本市場だけとは限りません。日本市場で上場が困難とされる業界に属する企業が海外でIPOを目指すこともあります。

東京証券取引所におけるIPOでも上場させるマーケットの選択肢は、下記の5つがあります。

・市場第1部
・市場第2部
・マザーズ
・JASDAQ
・TOKYO PRO Market

このうちTOKYO PRO Marketは他の4つの市場に比べて、あまりなじみがないかもしれません。TOKYO PRO Marketは、2008年の金融商品取引法改正により創設されたプロ向け市場です。その分、上場基準なども緩和されていますので、「とにかくIPOを目指したい」という経営者にとっては妙味のある市場といえるでしょう。

IPOを行う企業のメリットは多額の資金調達

上場は、本来的に資金調達の手段です。そのため、IPOからもたらされる最大のメリットは多額の自己資本を調達できる点にあるといえます。資金調達が企業の財務基盤に資するのはもちろんのこと、創業者や資本参加しているベンチャーキャピタルなどにとって、EXITとしての側面も有しています。また、上場企業になれば世間からの信用度や知名度が大きく向上します。

そのため、営業面においては取引条件や交渉力の点で有利になったり、採用面においては優秀な人材の確保につながったりするなどのメリットも期待できるでしょう。上場審査では、事業規模や収益性などの計数的な基準だけでなく、内部管理体制の整備および運用の状況が厳しくチェックされます。IPOの準備過程で、こうした体制を構築していくことにより、企業経営が健全化することもIPOのメリットといえます。

IPOのデメリットは上場コストなどの手数料

IPOを目指すためには、主幹事証券会社を選定し、上場に至るまでのサポートを依頼するのが一般的です。また、「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」や「同(Ⅱの部)」といった上場申請に必要な書類の作成が必要となります。そのため、「管理部門の人材補充や外部への報酬支払いでコストが増大する」という点が大きなデメリットです。

また、申請書類に含まれる財務諸表に対しては、監査法人あるいは公認会計士の監査報告書が必要となります。小規模な上場準備会社のフェーズでも監査報酬は数百万円程度です。上場後は、さらに多額の監査報酬が毎年必要となるほか、証券取引所に対する上場維持手数料も発生します。また、コスト面だけでなく、「創業社長が従来どおりの支配力を持つことができなくなる」という点もデメリットです。

上場は、株式を公開することを意味しますので、オーナー経営者として自社株式を独占し続けることはできません。多様な株主が自社株式を保有することで、会社の経営方針に影響を与えることになります。

IPOは企業が社会性を帯びること

以上のように、IPOは多大な経済上のメリットをもたらす一方で、それに対して支払うべき代償があることも事実です。しかし、「単独株主として会社を支配したい」という欲求を「社会に貢献する企業を作りたい」という欲求に昇華させることができれば、それはデメリットとは呼べなくなるのではないでしょうか。

株式公開することを英語では「go public」と表現します。IPOは、まさに私的な企業を社会の公器へと昇華させるイニシエーション(通過儀礼)といえるものでしょう。
 

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