経済・マーケット
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2019.6.23

EPA発効でワイン市場は活発になる?

(写真=UfaBizPhoto/Shutterstock.com)
(写真=UfaBizPhoto/Shutterstock.com)
2019年、EUとチリからの輸入ワインにかかる関税が完全撤廃されました。また近年、日本国内で醸造されたワインは質・量ともに向上しており、日本ワインの評価も上がっています。2019年の日本におけるワイン市場は、どのように変化していくのでしょうか。

スコッチウィスキーと並んで、投資の対象でもあるワイン

ワインはウィスキーと並び、ヨーロッパの富裕層の間で長らくコモディティ(商品)投資の対象とされてきました。ワインは消費されるため、当たり年のものでも年々数が減少し、希少価値が出ます。また、年月とともに熟成し質が向上する一部のワインは、時間とともに価値が上昇します。

さらに、生産エリアや畑によって格付けが行われている国もあり、格付け上位のワインの供給量が大幅に増えることもありません。これらの要因が相まって、ワインは投機・投資対象とされるのです。

コモディティ投資には、景気の好不況や消費者の嗜好の変化に影響されやすいという特徴があります。新興国における目覚ましい経済成長や、中国富裕層がワインへの興味を持ち始めたことにより、近年、世界では一段とワイン投機・投資が熱を帯びています。

日欧EPAの発効によりEU圏からのワイン関税が完全撤廃

2019年2月1日、日本とEU間での経済連携協定(EPA)が発効し、これまでEU諸国から輸入するワインにかかっていた関税が即時撤廃となりました。これにより、今までより1割~2割安くEU産ワインが流通しています。

EUにおける日本ワインの輸入規制も撤廃されました。各国には、ワイン自体を定義し厳格に規定するワイン法が存在します。これまでは、この定義に照らし合わせると日本ワインがワインとして認められず、EU市場などで流通できないケースも多々ありました。しかしEPA発効により、EU仕様でなくとも日本国内で認められた「日本ワイン」であれば輸出可能となりました。

日本・EU双方の輸出入の規制が緩和されたことで、ワイン貿易がさらに活発になると期待できます。

2019年4月にチリ産ワインの関税も完全撤廃!輸入増加が期待される?

日本とチリとの間には、2007年に2国間EPAが発効され、ワインの関税は段階的に撤廃されてきました。チリ産ワインはコストパフォーマンスがいい、と感じている人も多いのではないでしょうか。

フランスが日本のワイン輸入量の約4割を占めていた2007年、チリ産ワインは1割にも満たない数字でした。しかし、EPA発効後、チリ産ワインは勢いを増し、2015年以降はフランスを抑えて輸入量トップとして君臨しています。

12年間に渡り徐々に低くなったチリ産ワインの関税は、2019年4月1日完全撤廃に至りました。関税の即時撤廃によって巻き返しを狙う欧州産ワインと、段階的撤廃により地道に売り上げを拡大し続けてきたチリ産ワインの日本におけるシェアが、今後どのように変化するのか注目です。

2018年に日本でもワイン法が適用

フランスやイタリアをはじめとする世界各国では、ブドウの品種、栽培地域、栽培法、製造法やラベルの記載事項などを細かく規定したワイン法が存在します。ワイン法に則した分類により、ワインの格付けが決まり投機をする上での指標ともなります。

日本では、2018年にワイン法(果実酒等の製法品質表示基準)が適用され、これまで酒税法の中で扱われていたワインに独自のルールが課されることとなりました。日本ワイン、国内製造ワイン(日本ワイン以外)、輸入ワインの3つに分類され、日本ワインのラベル表示義務も定められています。

海外でも高い評価を得ている日本ワイン

国内で醸造された国産ワインには、「日本ワイン」と「日本ワイン以外」の2種類があります。国産ワインのうち国内で栽培されたブドウのみを原料としたものを日本ワインと定義しています。

国税庁の「国内製造ワインの概況(平成28年度調査分)」によると、日本国内における酒類全体の出荷量が減少する中、日本ワインの出荷量と輸出量は増加傾向にあります。

近年は日本産ワインの品質が向上しているとして、国際的にも評価が高まっています。世界最大の国際ワインコンクール「デキャンタ・ワールド・ワイン・アワード2018」では、山梨の中央葡萄酒と白百合醸造の2社3銘柄が金賞(出品1万6,903銘柄のうち240銘柄が選出)に選ばれました。

ますます活況なワインを楽しもう!

ワインは嗜好品として飲むだけでなく、短期的な利益を見込んで売買を行う投機や長期保管して価値が上がるのを待つ投資の楽しみもあります。輸入ワイン、国産ワインともに市場が活発化しているこの機会に、お気に入りのワインと楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。
 

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