キャリア・教育
-
2020.7.17

【連載#3】一流が身につけるべき「食事マナー」

(写真=ANA Financial Journal 編集部)
(写真=ANA Financial Journal 編集部)
「近年は、ニューヨーカーの間で箸が正しく使えるかどうかが、エグゼクティブかどうかの指標のひとつになっているそうです」というのは、食の総合コンサルタント・小倉朋子さん。日本でも、入試や入社試験で箸を持たせる学校や企業があるのだとか。箸使いは、その人の品性や資質と無関係ではないということなのでしょう。その理由と、正しい箸の扱い方を小倉さんにうかがいました。

丁寧な箸使いは人柄を表す

「日本では、箸は単なる食事をするための道具ではなく、精神性と深く関係するものとされてきました」という小倉さん。「もともと箸は食事の道具ではなく、神様へのお供えものを丁寧に扱うための神器として用いられたものです。箸にまつわることわざや箸使いのマナーも多く、それらには先人の教えが込められており、箸が尊い存在であったことがうかがえます」

じつは現代では、箸が持てなくてもそれほど困りません。スプーンもフォークもナイフもあり、仮に箸使いに苦手意識があったとしても、食事はできるからです。ではなぜ今、箸使いが世界で注目されるのでしょう。

「箸は、つまむ、持ち上げる、裂く、割る、くるむ、混ぜる、まとめる……など、たった2本の棒を5本の指を駆使することであらゆる動作が可能になるのです。これらを美しくきれいに行うには、丁寧に行う必要があります。丁寧に口に運ぶ。これは家族一丸で種まきをし、丁寧に稲を育ててきた稲作民族の食べ方だと思います。西洋料理は、刺して切って食べるという、豪快な狩猟民族の食べ方ともいえます」

食べるという本能的行為には、その人の本質や生き方が垣間見え、その人の人柄までも感じさせるのかもしれません。小倉さんは、「正しく箸を持って丁寧に食べることは、丁寧に仕事をすることと無関係ではないと思っています」と話します。
 

こちらもおすすめ
ブラックタイとホワイトタイとは?いまさら聞けないパーティーシーンのドレスコード
遊びから学び・グルメまで!最新デートスポット「METoA Ginza(メトアギンザ)」

箸使いはブラッシュアップできる

「箸使いに長年の癖がある人は、努力をしないと直すのは難しいかもしれません。でも、できれば努力してほしいと思います。何歳からでも、箸使いのブラッシュアップは可能だからです。私の講座にいらした方には80代の方もいらっしゃいます」

正しい箸の持ち方は、箸の真ん中より上の位置を持ち、人差し指と中指で上の箸を軽く挟みます。下の箸は、親指のつけ根と薬指で押さえ、上の箸だけを上下に動かします。

また、「忌み箸」ともいわれる「嫌い箸」も、無意識にやってしまうこともあるので気をつけたいものです。嫌い箸の例をここでいくつかご紹介しましょう。
  • 拾い箸/食べ物を箸から箸へうつす
  • 寄せ箸/箸で食器を引きよせる
  • 刺し箸/料理に箸を突きさす
  • 探り箸/箸でかきわけてさぐる
  • ねぶり箸/箸先をなめる
  • 渡し箸/食器に箸をわたす
  • 握り箸/箸と器を同じ手で持つ
  • 迷い箸/どれを食べようかと箸を動かして迷う
嫌い箸がNGである理由は、大きく分けて3つあるそうです。

「1つめは仏事を連想させるもの。例えば拾い箸は、火葬の際に骨を拾う儀式と同じです。2つめは食器やテーブルなどを傷つけるようなこと。寄せ箸がそれにあたります。3つめは料理や作ってくれた人に失礼な行為。探り箸などは、美しく盛られた煮物や天ぷらなどでやりがちです」

たとえこれらの理由にあてはまらなくても、「先人が長きにわたり警告してきた嫌い箸には、生き方の本質を教えられることがたびたびある」と小倉さんは話します。

「上手に箸を持ち、気持ちのよい食べ方をすれば、同席者にその人の丁寧な生き方を感じさせることができるのではないでしょうか」

連載4回目となる次回は、立食パーティーによくあるビュッフェでのスマートな振る舞いについてご紹介していきます。

小倉朋子
(株)トータルフード代表取締役。亜細亜大学講師。世界各地の正式なテーブルマナー、食にまつわる歴史、文化、経済、健康学などを総合的に学び、生き方を整える「食輝塾」を主宰。『食べ方を美しく整える 仕事のできる人ほど大切にしたいこと』(実務教育出版)ほか、著書多数。
 

>>その他のおすすめ記事
50代からの起業は遅くない!逆に成功確率が高い理由とは
働く女性のキャリアステップ「ベンチャー企業転職」5つの注意点
共働き世帯が抱える「働く女性の悩み」夫婦で考えたいことは?
働く理由が分からない……部下のキャリアアップやマネジメントが昇給につながるワケ
富裕層が実践する「子どもの金融リテラシー」

関連記事