キャリア・教育
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2020.5.17

仕事に役立つ人脈の作り方とは? ゼロから始める人脈づくりのポイント

(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)
(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)
人脈は組織の壁を超えた交流を生むだけでなく、キャリアチェンジのための重要な手がかりでもあります。書店に行けば「~人脈術」というタイトルの本が多く並んでいるのを目にすることでしょう。これだけ関心が高いのは、誰もが重要なことは認識しつつも、上手に人脈を作れていないことの裏返しでもあります。借り物の「術」ではない人脈作りに必要なものとは――。

人脈はなぜ重要なのか? それは「キャリア」と「イノベーション」に作用する

終身雇用制が崩壊しつつあり、職種も働き方も多種多様になっていくビジネスの世界を自分だけの力で切り開いていくことは困難です。高度なプロジェクトには強力な協力者が、進むべき道に迷ったときはお手本となるロールモデルが、そしてときには次のステージに引き上げてくれる導き手が必要です。そんな存在になる可能性の高い人たちとの関係性を作り、維持していくことこそが「人脈術」であるといえるでしょう。

人脈がもたらす恩恵には、大きく分けて2つの面があります。1つは望ましい「キャリア」を与えてくれるという面、もう1つは「イノベーション」の源泉となるという面です。

では、人脈が「キャリア」と「イノベーション」に与える影響とはどのようなものでしょうか?具体的に見ていきましょう。

人脈が「キャリア」にもたらす2つのメリット

転職や起業をバックアップしてくれる

縁故での採用は「コネ採用」と呼ばれ、企業の有力者の血縁関係者であることが多く、適切な業務能力を有していなくとも採用されることを指します。しかし近年では、シリコンバレーの企業のように先端的な企業が行っている社員の紹介による採用を「リファラル採用」と呼び、重視するようになっています。信頼関係が基盤となる紹介のため、周囲の社員との協調性、職務経歴や資格には表れない能力を保有している可能性が高くなります。即戦力を欲している企業などでは、リファラル採用が優秀な人材を得るための効率の良い方法として採用されています。

またIT業界の進歩の早さを犬の成長スピードに換算すると、人間の7年に当たるといわれることから「ドッグイヤー」と表現されますが、それだけに最先端技術の細分化も加速しています。

企業が求める技術をその人物が持っているかどうかを知るためにも、リファラル採用はきわめて有効な手段です。国内ではLINE、メルカリ、サイバーエージェント、クラウド会計ソフトで知られるfreeeなどがリファラル採用重視を打ち出しています。

裏返せば、先進的な企業への移籍を目指す場合には、その企業に自らを推薦してくれる知り合いがいることでチャンスが広がるということです。

人脈が信用情報となる

リファラル採用とも重なる要素ですが、「見ず知らずの人物」と「信頼する人の知人」であれば、多くの人は後者をより信頼するはずです。あなたのキャリアに直接関わる人と知り合いでなくても、誰かを介して間接的に知り合いであれば、あなたの信用度が高まる可能性があります。

そのような意味では、人脈作りとは直接の知り合いを増やすことだけではなく、「友達の友達」ネットワークをいかに張り巡らせるかということでもあります。米国の社会心理学者スタンレー・ミルグラムは自身が行った社会実験から、世界中のすべての人は「友達の友達の友達の友達の友達の友達」までの6ステップ内に収まるという仮説を立て、ここから「6次の隔たり」という言葉が生まれました。

この仮説は完全に証明されたわけではありません。しかしFacebookがアクティブユーザー15億9,000万人を対象に調査を行ったところ、SNS上のつながりは平均3.57人で収まるという結果が出ています。インターネットとSNSの発達で、世界中の人々のネットワークは以前よりも縮まってきているのだと考えられます。

人脈が「イノベーション」にもたらす4つのメリット

(1)「内側の論理」を相対化する

同じ会社や組織に属するメンバーだけで作られたチームには、意思疎通のスムーズさや目指す方向の一致といった利点はあります。しかしその反面、発想が似たりよったりになってしまい、どうしても前例を踏襲してしまう傾向があります。

また、新規性のあるプロダクトやサービスを生み出す上で障壁となる内規や、「この種の事業は○○部しかやってはいけないことになっている」といった明文化されていない暗黙のルールについて、「なぜ自分たちでやってはいけないのか?」などの疑問を抱く力も弱くなってしまうのではないでしょうか。

組織の外側にいる人物やチームをプロジェクトに引き込むことで、発想の限界や撤廃されるべきルールがあっさり乗り越えられてしまうケースは少なくありません。もちろん、いわば異物を取り込む際の「免疫反応」は、どんな組織でも多かれ少なかれあることでしょうが、日頃から多様な人脈の中で生きている人には、いつの間にか齟齬や軋轢を調整する力がついているものです。

組織や業種を超えた幅広い人脈形成は、ドッグイヤー状況を生き抜くための必須能力となっていくのかもしれません。

(2)「1万時間」分の知識と経験を得られる

幅広い人脈があることのメリットは、先端的な領域や専門性の高い事象について、的を射たアドバイスを与えてくれる人や、協力してくれる人が見つかりやすいということでもあります。

自分で先端分野を勉強する、あるいは新たな事業をリードできる人材を社内教育で作るといった「内製主義」は、向学心という意味では立派な考え方でしょう。しかし例えば長く旧来の銀行業務に携わってきた人を、教育や研修でフィンテックの専門家にすることは最善の策でしょうか?

スティーブ・ジョブズやビートルズなど、各界で「天才」と呼ばれる人物を取材してきたカナダのジャーナリスト、マルコム・グラッドウェルは、取材の成果を著書『天才! 成功する人々の法則』(講談社)にまとめました。著書の中でグラッドウェルは、どんな才能や技量も1万時間の修練を続ければ“本物”になるという「1万時間の法則」を提唱しています。

1万時間がすべての領域に当てはまるかどうかはともかく、法則をそのまま受け入れるとすれば、豊富な人脈は数万時間以上の修練に匹敵しうるということになります。それらを「内製」で手に入れるのは、ほぼ不可能といえるでしょう。

(3)無意識のマーケティング

社外の異業種の人々との人脈だけでなく、同業者との人脈もとても重要です。最もわかりやすい例としては、同じ得意先を担当している他社の営業部員との情報交換です。お互いに企業秘密の部分はあったとしても、得意先の担当者の思わぬ一面や知らなかった内部事情、交渉の経緯などが集積することによって、自社からのアプローチでは見えなかった情報が少なからず可視化されることでしょう。

もう少しマクロな例でいえば、何の気なしに交わす会話が、無意識のマーケティングやリサーチになっている可能性があります。例えば知り合った同業他社の人も、あなたと同じ社会現象を調査し、そこにマッチしたプロダクトやサービスを作り、訴求し、販売計画を立てていたとします。その場合、同じ現象の調査であっても、その解釈の仕方、切り取り方、アプローチ方法、市場規模の評価などはまったく同じではないはずです。

お互いに企業秘密には触れなくても、それぞれのマーケティング戦略を軌道修正させるような情報を、無意識のうちに交換している可能性があります。さらに真正面からの競合を無意識に回避し、食い合うことのないブルーオーシャン(未開拓の市場)をそれぞれが見つけられるかもしれません。

(4)ネットワークの「ハブ」になれる

GAFA(Google,Amazon,Facebook,Apple)など、ビッグテックと呼ばれる米国の多国籍IT企業たちは、他国のIT企業よりも高い技術力を持ち、イノベーティブな発想に満ちていると、多くの人は考えています。それは必ずしも誤りではありませんが、彼らが革新性の高いプロダクトやサービスと矢継ぎ早に打ち出せる最大の要因は、イノベーションを起こしつつあるベンチャー企業を次々と買収していることにもあります。

GAFAは企業だけでなく、人材もどんどん外から吸収し続けています。フィンテックがいよいよ無視できない潮流となった2015年頃、世界金融の「ハブ(結節点:異なる市場やネットワークのつなぎ目となる場所)」であるシンガポール政府は、フィンテックでもハブともなるべくIT技術者の大量確保に着手しました。ところがGoogleが2016年、シンガポールにアジア環太平洋本社を設立し、金融業界から大量の人材を引き抜いてしまったのです。シンガポールの金融業界は人材獲得で大いに遅れを取り、政府と一体となってアジアや欧米への大規模なスカウティングを行いGoogleに追随しています。

この出来事は、2つの教訓を示唆しています。1つは、人材やベンチャーとのつながりが現在のビジネスでは大きく物を言うということです。そしてもう1つは、ハブのポジションを取ることの重要性です。人的ネットワーク同士がつながる場所に身を置き、イノベーションを起こしうる「ネットワーク×ネットワーク」の掛け算を仕掛けられるかどうかが、技術力や専門知識よりも大きなイノベーションの源泉になっている可能性があるのです。

人脈づくりでは、知っている人の「量」はもちろんのこと、それ以上に常にハブの位置に身を置くという「質」の維持が重要ともいえるでしょう。
 

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とはいえ、いきなり人脈の「質」と「量」とを獲得できるわけではもちろんありません。ここでは、多くの人が実践している人脈づくりの方法をご紹介します。

(1)学生時代の知人・友人との再会

これは王道ともいえる方法です。社会に出てからの数年は交流があったけれど、それぞれ忙しくなって会う機会が減り……というケースがほとんどだと思いますが、SNSを使えば連絡していなかった人もかなりの確率で探すことができます。

よく知っている仲なので根底に信頼がありつつも、しばらく会わなかったことで馴れ合いにならない距離感があり、ビジネスの現場で関わるには良い関係性となっていることが少なくありません。反面、お互いに得るものがないとわかれば自然にまた離れられるという気楽さもあります。

(2)SNSを活用する

SNSを通じてオファーが舞い込んだり、共同プロジェクトが立ち上がったりした経験がある人も多いことでしょう。また、対面での付き合いが重視されるような関係性でも、SNSはお互いの状況や多忙ぶりが確認できるので、アポイントをスムーズにしてくれます。FacebookやTwitter、Instagramなどはすでに有名ですが、ここでは特にビジネスに役に立ちそうなSNSをご紹介します。

・Eight
スマホのカメラで名刺を撮影しアプリで送信すると、印字された文字がデータ化されるサービスです。文字データはAIだけではなく、オペレーターが確認しているので正確に登録されることに大きな特徴があります。

さらに登録した名刺情報は、アプリを通じてSNSとしてネットワーキングされていきます。最初に自分の名刺を登録しておけば、相手があなたの名刺を登録しただけでこちらが登録せずともお互いに連絡可能になりますし、逆も同じです。ユーザーが使えば使うほど、スキャンの必要性がなくなっていく仕組みになっています。

「モノ」としての名刺は整理するのも面倒でしたが、スマホで撮影するだけで名刺そのものは不要になるのも嬉しいポイントです。

・LinkedIn
ビジネス専門のSNSとして、すでに世界中に普及しているサービスです。自分の情報をまず登録するのはFacebookと同様ですが、職歴やスキルなどビジネス面での情報をしっかり書き込むことが重要です。ビジネスに関する情報から検索し、お互いにどんどん繋がっていくことに大きな特徴があります。

米国などでは、名刺をはじめから持たずに、LinkedInで生成したQRコードを交換し合うのがビジネスマナーになりつつあるようです。またつながりが多ければ多いほど検索上位に出るようになっているので、面識のない人とでも臆せず繋がりを持つと、さらなるチャンスを手にすることがでるでしょう。

・yenta
yentaはいわばマッチングアプリのビジネス版です。アプリがプッシュしてくる人を「興味あり」「興味なし」と判定していくと、AIが判定をもとにユーザーの志向や分野を読み解いていくので、プッシュされる人物とのマッチング率がどんどん向上していくという仕組みです。

「興味あり」「興味なし」を繰り返すだけで、まったく未知の相手ともつながる可能性があるという点が、とてもユニークなサービスです。

(3)異業種交流会、名刺交換会への参加

SNSの普及も手伝い、異業種交流会や勉強会といった集まりが増えています。交換された名刺は整理されないまま、顔や名前も忘れていく……かつてはそんなことも多かったと思いますが、スキャンした名刺のデータを活用するSNSもあり、しっかりとした関係性を築くきっかけとしてより機能するようになっています。

(4)オンラインサロンへ入会する

実業家や芸能人などが主催する有料会員制のオンラインサロンを、人脈づくりに活用する人も増えています。また実際はもっと多種多様なサロンがあり、対象が限定された専門性の高いサロンも少なくありません。

オンラインサロンのプラットフォームでは、DMMオンラインサロンとSynapseがよく知られていましたが、2017年にDMMがSynapseを子会社化し、一気にサロン数を増やしました。

オンラインサロンの良い点は、有料会員制のため情報の秘匿性が高いこと、一致した志向を持った人と知り合いやすいことなどがあります。反面、プラットフォームの監視機能が強くないため、会費に見合った活動が行われなかったり、会員に無償の労働提供を求める主催者がいたりするなど、すべてのサロンが信頼できるとはいえない面があります。

そのため軽い気持ちで参加し、自分の利益とならないと判断したら軽い気持ちで脱会する、そのくらいの感覚が望ましいのかもしれません。

(5)習い事やジムなどで関係性を深める

ビジネスシーンではあまり見えないその人の素顔が、趣味や余暇の場面では垣間見えるものですが、ビジネスから共通の趣味へと関係性が発展することはあまりありません。

習い事やフィットネスクラブなどで知り合いになった人と、たまたま業種が一緒だったりすると、素性を知った状態からビジネスの話ができるという利点があります。ビジネスにつながらなくても、趣味を深めたり身体を鍛えられたりするメリットがあるので、目的意識にとらわれずに始めてみてはいかがでしょうか。

(6)限られた人しか入れない会員制クラブに入会する

オンラインサロンが普及する以前から、会員制のクラブはいくつも存在します。有名なのは国際的に広がる社会奉仕活動団体「ロータリークラブ」や「ライオンズクラブ」ですが、実業家や富裕層限定の紹介制クラブも存在します。

これらの多くは会員からの紹介が必要とされるため、入会していることで社会的信用も担保され、情報の秘匿性も高くなります。もしチャンスがあれば入会してみると、違う世界が開けるかもしれません。

人脈づくりを強化する5つの思考

上に挙げた6つの方法は、プラットフォームが新しくなっているものもありますが、比較的オーソドックスなものでした。結局のところ、人脈づくりには近道も裏ワザもありません。しかし人脈についての思考法を変えるだけで、オーソドックスな方法の「効き」を変えることは可能です。

(1)トランザクティブ・メモリーを高める

ハーバード大学教授のダニエル・ウェグナー氏は、1980年代半ばに組織の学習効果を高める可能性の高い、ある概念を提唱しました。それが「トランザクティブ・メモリー」で、日本語では「対人交流的記憶」などと呼ばれています。

ウェグナー氏は、組織内で同じ知識を共有しても全体の生産性がそれほど向上しないことを明らかにしつつ、「誰が何を知っているのか」を共有し、記憶することが重要だと主張しました。課題についての専門知識を全員で持つのではなく、「この領域に詳しいのは誰か」「この問題を解決できるとすれば誰か」と把握していることで、組織全体の学びは深まっていくという考え方です。「What」よりも「Who knows what」を記憶することが重要というわけです。

ウェグナー氏の研究は組織での学習に関するものでしたが、「Who knows what」は組織を横断して幅広い人脈を形成している人たちならば、誰もが持っている記憶であるともいえます。トランザクティブ・メモリーはその後もさまざまな研究が重ねられ、「対面でのコミュニケーションがトランザクティブ・メモリーを高めやすい」ということがわかってきています。

(2)何かが生まれる「場」にいる

全館完全禁煙が当たり前になる以前は、多くの企業に「タバコ部屋」がありました。それは大学などの研究機関でも同様で、そこでは学部や専攻の異なる研究者が集い、雑談を交わしていたのです。

近年、国内の大学では、異なる専攻の研究者たちによる共同論文の本数が減ってきています。その理由のひとつとして挙げられるのが、タバコ部屋の廃止による異分野交流の減少です。分野ごとに切り口は違っても、実は同じ課題を解明しようとしているケースは意外と多いものですが、「雑談」はそれを気づかせてくれるチャンスでもあったのです。

最近ではさまざまな企業がフリーアドレスを導入し、異なる部署の社員が混ざり合う環境を作ろうとしていますが、意味するところは同じです。シリコンバレーでも町中にあるスターバックスが、経営者やエンジニア、ベンチャーキャピタルが自然発生的に交流する場となっており、そこから生まれたスタートアップ企業も少なくありません。

交流を持ちたいと思っている人たちがどこに集まっているのかを知り、そこに足繁く通うことは、とても効果的な人脈術になり得ます。

(3)「地域」に積極的に関わる

人口減少が進む中、都市部でも地方でも地域ごとにさまざまな課題が浮上しています。税収の減少で公共の機能も低下しつつありますが、代わって存在感を増しているのが住民自身による町おこしや地域活性化の試みです。

地域活性化事業を専門に手掛ける企業やNPOも存在しますが、平日は本業を持ちつつ、夜間や休日に町おこし事業に参加する人も多く、業種を横断するようなネットワークが各地に広がってきています。例えば豊島区は、空き家問題などを解決すべく民間事業者と連携し、一般参加者がともに学び議論をする「リノベーションスクール」というワークショップを開講、そこから生まれたアイデアで実際に空き家再生事業のみならず、荒廃していた公園の再生なども実行してきました。

このような取り組みは全国で行われており、多種多様な交流が生まれています。何より、自分の住む街を自分たちの手で再生させるという共通の目標があるため、利害を超越した協働が行われることで連帯も強固になりやすい傾向があります。

「地域」を軸にした交流は、これまでの人脈術よりも、さらに踏み込んだ方法といえるかもしれません。

(4)ナイトタイムエコノミーに関わる

インバウンド交流の増加は国家的な課題となっていますが、その中でひときわ重視されているのが「ナイトタイムエコノミー」です。外国から観光で日本に訪れた人の多くが、治安が良いにも関わらず夜間に楽しめる場所が少ないことに不満を抱いており、「夜間経済」の拡充がインバウンド消費を増やすと目されているのです。上に挙げた公民連携による町おこし事業のスキームは、ナイトタイムエコノミーの分野にも活用されつつあります。

ナイトタイムエコノミーは、飲食やエンターテインメントだけの話ではありません。博物館や美術館といった文化施設や、終夜運行の交通機関、病院などの社会的インフラまで、多くのものが24時間態勢で動くこと意味しています。当然新しいビジネス創発も期待されており、それらはナイトタイムエコノミーでの異分野交流から生まれてくることが予想されます。

これまでの飲酒が主体の「飲みニュケーション」は主に会社の愚痴を語り合う機会でしたが、今後はもっと多種多様な人たちが夜に集い、語り、協働していく場が各所に生まれてくることが予想されます。そこもまた、一歩先の人脈術を実践する場となることでしょう。

(5)気になる人にはとにかく会いに行く

『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』などの著書がある経営学者の入山章栄氏(早稲田大学ビジネススクール教授)は、著書やインタビューなどで「誰もがアクセスできるネットの情報は価値を持たない」「対面で会った時にだけ感じられる暗黙知や情報が重要になる」と繰り返し強調しています。

「誰でも入手できるものには価値がない」という考え方は、経済学では「欲望される量に比べて利用可能な量が少ない状態」を「希少性」と呼ばれ、経済分析の最も基礎にある概念です。さらに近年の経営学では「リソース・ベースト・ビュー(resource based view)」と呼ばれ、企業内部にある希少な経営資源が重視されるようになってきています。

ネットやSNSがどれほど便利になっても、便利であるがゆえにそこで行き交う情報が持つ価値はどんどん低減していきます。あくまでも補助的なツールとして使い、会いたい人、会うべき人にはどんどん会いに行かないと、真に価値のある人脈づくりはできません。ネットが万能であればこそ、「足で稼ぐ」というアナログな思考法も重要になってきています。

ネットとリアルをそれぞれのバランスで使い分け、最良の人脈形成を

人脈術に正解はなく、究極的には試行錯誤の末に自分に合った方法を身につけるしかありません。また今の時代、ネットだけでもリアルだけでも人脈形成とその維持は難しいでしょう。「キャリアのため」「イノベーションのため」などと肩肘を張らずに、楽しみながら出会いにオープンであり続けることが、最良の人脈形成につながっていくのかもしれません。


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