キャリア・教育
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2020.4.21

2020年から正式教科へ。子どもの英語教育費いくらかかる?

(写真=FamVelde/Shutterstock.com)
(写真=FamVelde/Shutterstock.com)
グローバル化、IT化が加速する現代において、様々な業界で他言語を使いこなす人材が求められています。このような社会の流れに伴い、英語教育業界やその他関連事業が活況化、政府はいよいよ小学校での英語科目必修化を発表するに至りました。今回は子ども向けサービスを中心に、英語教育をめぐる話題をお伝えいたします。

英語教育が過熱化する背景

2020年から小学校でプログラミングが必修科。あわせて英語も5,6年から正式科目へ

2020年に施行される次期学習指導要綱では、これまでの教育とは一線を画した内容が盛り込まれています。中学校の英語授業の英語化、修得目標単語数の増加、高校ではセンター試験廃止と英語の民間試験評価制度の導入が予定されています。さらに特筆すべきは小学校での「プログラミング教育」と3年生から導入される「英語」科目でしょう。

これまでも英語教育は行われてきましたし、小学校5、6年生でもALT(外国語指導助手)講師による「外国語活動」がありました。しかし今後さらに学習量が増加し、また小学校低学年という早期で「英語」を正式科目に認定、必修化するという思い切った動きは教育現場、そして保護者に衝撃を与えているようです。

これに伴い、語学学習市場が活況化

(株)矢野経済研究所が2019年に発表した「語学ビジネス徹底調査レポート」では、語学スクールから書籍・辞書・PCソフトなどの学習ツール、語学試験や留学斡旋など周辺市場まで幅広い分野での活発な動きが見られています。

これまで英語力が求められていたのは教育分野、通訳・翻訳事業、外資系企業や一部の企業での出張枠といった限られたポジションでしたが、近年見られる一般企業のグローバル化、訪日外国人の増加の流れはとどまることなく、世間の様相は確実に変化しています。
     
これに伴い外国語学習分野や留学事業に進出する企業も増え、日本人にとって英語という存在がさらに身近になりつつあります。

特に子ども向け市場にも注目が集まりつつある

このようなグローバル化を背景に変化しているのは企業などビジネスパーソンの世界だけではありません。他方では、子ども向け市場も顕著な活況化を見せています。2020年の新学習指導要綱施行の影響は大きく、保護者は子どもにできる限り早く英語教育を行いたいと考えているようで、英会話スクールやプレスクール、e-learningやその他オンライン英会話教室などの利用が後を絶ちません。
 
幼少期から小学生にかけて、子どもの言語吸収能力は高くなると言われています。ではこのような時期にある彼らのため、具体的にどのようなサービスが提供されているのでしょうか。

幼児、子ども向けの英語学習のサービス形態

学校教育にプログラミングが正式導入されることが決まったように、近年の情報化の流れは目覚しいものです。これに合わせて、従来のように一部の子供が英会話スクールに通うというものから、インターネットを利用した英会話教室、コンピューターソフトの利用というサービスの形態変化が起きています。

教室形式

ITがどれだけ進化しても、やはり生の授業で英語に触れられる「教室形式」は人気で、他の形態と同じく市場はホットな状況にあります。

教室の形態は、通常の座学よりも歌やダンス、劇などを利用したアクティブラーニング形式を導入している教室が多いようです。英語のインプットとアウトプット両方を重視し、リズムに乗って楽しみながら、また劇の創作などを通じて、自らの考えを英語で話せるようになる、他者と共有するという教育プログラムを展開しています。

またデジタル化の流れを反映した教室もあり、独自ソフトでの自主学習や、電子黒板を使い色や動きのある教材で子どもたちの学習意欲を刺激するなどの工夫を取り入れているようです。

オンライン形式

オンライン形式での英会話教室では、やはりインターネットならではの「手軽さ」を重視したサービスが展開されているようです。

専用アプリを導入し事務的な手続きから実際の授業までを1つのフォームで一貫して行えるようにする。月謝制ではなくポイント制を導入し、受講する授業数などに応じて購入してもらうなど、各社スタイルに工夫をこなしています。

また、与えられた授業枠の中でなら受講生を子どもに限らず他の家族も受けられるようにし、家庭にいながら全員で英語を楽しむ、インターネットデバイスを通じた授業ならではのサービスも存在します。

親子の短期留学

親子での「プチ留学」が最近話題となっているようです。これまで留学といえば、大学生などある程度の年齢に達してから行くものであり、子どものうちから留学するというケースはあまり体系化されていませんでした。

しかし近年のグローバル化の流れから、親子で一緒に外国語・異文化を学ぶという留学プランが組まれています。子どもを現地の小学校やプリスクールに短期入学させつつ、親も語学学校・ホームステイ先などで英語学習を行い、日本とは異なる文化圏で親子一緒に安心して異文化交流を行うことができます。

行き先としては北米・ハワイのほか、フィリピンやマレーシア、シンガポールなど日本から比較的近いアジア圏での学習プランも主流となりつつあります。

子どもの英語教育にかかる費用は

英語教育を取り巻く近年の流れやサービスが活況を呈する中、気になるのは費用面です。いくら魅力的なプランの教育だからといって闇雲に投資することは賢明ではありません。とはいえ、これからの時代に向け何もしないのは不安、という方も多いと思います。

一般的に人気の習い事とかかる費用

英語教育にかかる費用を説明する前に、一般的に人気の習い事にかかる費用の相場を確認しておきましょう。

・水泳
     
(株)バンダイが2019年に発表した「子どもの習い事に関する意識調査」で、男女ともに1位にランクインしたのがこの水泳です。
同調査によると水泳を始めるきっかけは親の意向である場合が多いようで、子どもの運動能力向上・体力作りのきっかけとして選ばれています。また近年、運動と学習能力の相関関係を調べる研究が活発化しており、中には中強度の運動で記憶力や判断能力の向上が見られたという結果も出ています。

スイミングスクールへ通う費用の相場は月額6,470円で、決して無理のない額であると言えるでしょう。

・ピアノ

特に女の子がいる家庭で人気を得ている習い事は「ピアノ」です。こちらも水泳と同じく、親の意向であることが多いようです。

芸術を通じて子どもの成長を促す文化系の習い事ですが、大手ピアノメーカーであるヤマハ株式会社が音楽教育の発想を発展させ英会話教室事業を展開していることから考えると、学習という大きな視点から見て他科目とも無関係ではないようです。

気になる費用相場は月額7,200円です。レッスンに通うとなれば、自宅にピアノが必要となるでしょう。ピアノと言えば高級品というイメージですが、最近ではデジタル化が進み、音量レベルも調節できる安価な製品が作られています。一昔前と比べると、ピアノ教室へ通うハードルは幾分低くなっているかもしれません。

・習字

日常生活において文字を書く手段がパソコンやスマートフォンに移行しつつある現代でも、正しくきれいな字を書けるにこしたことはありません。特に筆使いは一生に影響することから習字の人気は今も衰えていないようです。昔ながらの毛筆での書道からペン字まで数多くのレッスンが行われていますが、単に字がうまくなるというだけでなく、精神的な安定や認知能力・集中力の向上にも寄与するようです。
     
費用相場は月額で3,450円となり、安価で始めることのできる人気の習い事の1つです。

・学習塾

個別指導やグループ指導問わず数多くの業者が都市の駅前に進出しており、習い事として今も変わらず人気を集めています。2019年に発表された(株)三井住友銀行の調査によると、学習塾上場16企業のシェアはこの10年増加傾向にあり、同業者間での競争も激化しています。

同研究によると、学習系の習い事には親もお金をかける傾向が強いようで、平均的な費用は1万5,362円です。また特筆すべきは月2万円以上をかける家庭の割合が4分の1以上を占めているという点で、教育に対する意識が高い状態にあることを示しています。

英語教育サービスにおいてかかる金額

英語教育の費用について、前述の3つの英語教育サービスそれぞれの相場を見ていきましょう。

・教室形式

前項の(株)バンダイによる調査では、子どものための英会話教室の費用相場は月額8,761円となっています。英会話スクールにかかる料金の内訳を少し細かく見ていきましょう。

(1)入会金

入会金の相場は2万円から3万円ですので、慎重な教室選びが求められます。ただし時期・教室によっては入会金無料もしくは減額キャンペーンを実施しているため、このような機会を利用するのも良いでしょう。

(2)スクール管理費用

一部の教室では「スクール管理費用」を取っています。相場は月額数百円~1,500円ですが、年間で考えると相当な金額になります。また入会金やレッスン料と違い、公開されていないことが多いため注意が必要です。

(3)教材費

入会金と同じく高額になるのが教材費です。自社出版のものからアメリカ・イギリスより取り寄せている場合など教室により様々で、選ぶコースなどでも変動しますが相場は1万5,000円~2万5,000円あたりとなっています。
          
(4)レッスン料金

英会話スクールでは、大きく分けて3つの授業スタイルを取っています。

最も大きな「グループレッスン」は5~8名ほどで、大人数でディスカッション形式をとったり、歌や劇など1つのものを作り上げたり、共有することに特化しています。費用相場は単価2,500円~4,000円ほどとなります。

次の規模としては「少人数レッスン」で、2~4人の少ない人数で講師から密なレッスンを受けつつ、受講生どうし互いに刺激しあうことのできるハイブリット形式です。授業時間にもよりますが、値段の相場は2,500円~5,000円となっています。

最後に「マンツーマンレッスン」です。こちらは講師と生徒が1対1なだけあり高額ですが、やはりレベル選択や進捗などにより受講生に寄り添ったレッスンを受けられる点が強みです。費用相場は単価6,000~9,000円となっています。

・オンライン形式

オンライン形式では、いくつもの教室を用意する必要がなく、そのため学習塾側としては固定費を削減できます。また、教室の大小による授業を受ける人数の制限もなく、やや極端ですが、何百人でも何千人でもオンラインを通して授業を受けることが可能です。そのコスト削減、利益増を顧客に還元するかたちで費用も比較的安価となっています。

値段の相場は5,000円~6,000円(マンツーマン月8回、グループレッスン30回を目安として)となっています。タブレットやPCなどデジタルデバイスがありネット環境も整っていればどこでも受講でき、手続きもネットで簡単に完結できます。塾通いがなくなるため交通費負担や、送迎の手間がなくなるなど多数のメリットがあります。

教室形式と比較し、モニターを通して授業を受けるオンライン形式はどうしてもライブ感が欠けてしまいます。そこで重要となるのが教材の質です。イラストが多く興味を引きやすい教材やアプリ、受講生の興味に応じて学習できる質・量ともにボリュームのある自習教材など、子どもが楽しめ、また続けられるようなラインナップが用意されているかも教室選びのポイントとなるでしょう。
     
・短期留学

最後に親子での短期留学ですが、こちらは滞在先によってかなりの変動が見られます。語学学校に入るのは子どもだけかそれとも親も入るのか、物価は日本に比べて安いか高いか、また現地での生活の他に航空券のチケットの料金も大事な要素の1つです。人気の留学先ほど時期によって値段のブレが大きいので繁忙期と閑散期を比較し、子ども料金も調べておくと良いでしょう。

料金を安く抑えたい場合は、事前調査の段階で家賃・生活費・交通費が安く済む都市を選ぶ、またホテルでなくホームステイを利用するなどの手段があります。後者については、思わぬ文化の違いや生活環境のギャップが大きなストレスとならぬよう、ホームステイ先について住居などの環境や家族の宗教を調べておくと安心です。

(1)アメリカ

ハワイ、ニューヨーク、ロサンゼルスなどが主要な都市となりますが、本土でもハワイでも特に大きな物価の差異は見られません。相場は1~4週間程度の滞在で50万円~120万円ほど(渡航費、スクール代含む)を見ておきましょう。

(2)カナダ

バンクーバー、トロントなどが主要な都市です。(1)の都市よりも北部に位置し、冬は厳しい寒さとなります。カナダは移民国家であり、多国籍・多民族で成り立っています。アジア人にとっては比較的住みやすく、またスクールによってはフランス語などの多言語学習も可能となっています。相場はアメリカより安価で50万円~80万円ほどとなっています。

(3)イギリス

物価が高いことで有名で、また近年のEU離脱により通貨・政治状況ともに多少不安定ではありますが、本格的な英語を学びたい方にとっては貴重な経験となるでしょう。相場は50万円~100万円ほどとなります。

留学の際に利用したいのが「ティーチャーズホームステイ制度」です。現地の英語教師の家にそのままホームステイができるというサービスで、費用を抑えつつ密度の濃い英語教育を受けることができます。

(4)オーストラリア

南半球に位置し、日本と季節が逆転します。暖かい気候で安定していること、治安も比較的良いことから世界各国から留学生が集まる国です。都市により変動はありますが、外食を避け物価の安い地域を選べば生活費は日本とさほど変わらず、費用としては50万円~90万円あたりです。

(5)フィリピン

治安がやや不安定なものの、日本から比較的近い場所にあり物価も安いというメリットがあります。相場は25万円~50万円です。語学学校での親子留学システムが整っており、かつパッケージなども多く組まれており値段が確認しやすい点も特長です。

(6)シンガポール

アジア圏では比較的物価が高い国ですが、その分治安面でも教育面でもトップの水準を誇ります。学力レベルは世界的に見ても高く、他国からの留学者・移住者も多く存在します。相場は40万円~70万円で、日本から近いのもメリットです。

(7)マレーシア

マレーシア国民の英語の発音には独特の訛りがあるものの、物価が安くまた親日国であるため、かなり過ごしやすい環境です。短期の留学制度が整った学校、幼稚園や保育園も存在するので、留学先としては手軽な国の1つと言えるでしょう。費用の相場は20万円~50万円です。

上級者向けにはインターナショナルスクールやプリスクールといった手段も

インターナショナルスクールとは、元は日本に住む外国籍の子どもたちが通うための学校で、授業は全て英語で行われます。近年ではグローバル化の影響を受け、日本人の子どもがバイリンガル化を目指して通う場所として注目を集めることとなりました。

プリスクールとは、インターナショナルスクールに通う前の保育園や幼稚園のような施設となっています。
 

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それぞれにかかる金額やメリット、デメリット

・インターナショナルスクール

インターナショナルスクールは国が用意した施設ではなく私学であるため、学費は安くありません。一般の私立学校に比べて高額料金が設定されていることが多く、私立小学校の学費相場が90万円前後(教育費+給食費)であるのに対し、インターナショナルスクールの学費は約2倍の200万円前後です。

相場は地域によって変動します。東京は全国でもトップレベルのコストがかかり、相場は220万円~250万円前後です。対して大阪は150万円~200万円です。いずれにせよ、公立小学校の相場が10万円であることを考えると、受験をしない子どもに比べ20倍もの料金を払うことになります。

またインターナショナルスクールでは教育費以外にも料金が求められることがすくなくありません。スクールバス代や施設メンテナンス費、ランチ代、カリキュラムに必要な教材費、イベント支援費、また一部の学校では寄付金が求められることもあるようです。
 
国の費用負担制度は全く使えないわけではなく、就学支援金制度などにより国に認められた一部のインターナショナルスクールでは減免措置を受けることが可能です。ただし通常の私立学校と同じく、保護者の年収を基準とした審査に通らなければなりません。

費用の他にインターナショナルスクールではもう1つ注意すべき点があります。それは学習カリキュラムが独自に組まれているため、学校やコースによっては一般の義務教育に則っていないという判定を受ける可能性があり、大学試験を受けるにも高認(高卒認定試験)を受けなければならない場合があるということです。

インターナショナルスクール一番のメリットは、他国籍の同級生との交流、英語での授業を中心としたグローバル化システムで、環境レベルから他言語の習得・異文化交流ができることです。インターナショナルスクールへの入学を検討する際には、学費、就学費減免措置が受けられるかどうか、卒業で得られる資格、この3点について特に注意を払っておきましょう。

・プリスクール

プリスクールの立ち位置は幼稚園や保育園に近いものの、それはあくまで通う子どもの年齢層や活動内容での話であり、実際は国の認定こども園や認可保育園とは全く扱いの異なる私立教育機関です。授業は全て英語で行われ、また先生は教員免許など国の資格を持つわけではなく海外の保育士の資格取得者が授業を行なっています。

プリスクールでは外国の先生、外国の子どもに囲まれ幼少期から他言語習得・異文化交流が行えるという環境は魅力的です。しかし学費の面ではインターナショナルスクールと同じくかなり値が張り、初年度費用の相場が保育園は30万円前後、幼稚園が70万円前後であるのに対し、プリスクールは平均183万円と跳ね上がります。

国の保育無償化制度の適用枠としては、共働き世帯の家庭などに年間44万円ほどの一部給付金が用意されています。


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