キャリア・教育
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2019.12.14

締め切り前は「徹夜で仕事」から抜け出す方法

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
(本記事は、中島聡氏の著書『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』文響社の中から一部を抜粋・編集しています)

「ラストスパート志向」が諸悪の根源

大半の人が、スケジューリングの段階から大きな勘違いをして仕事に取りかかっています。締め切りという言葉への典型的な誤った考え方は、次のようなものでしょう。

・見積りはあくまで見積りでしかなく、予定通りに仕事が進むとは限らない
・締め切り目前に、徹夜でも何でもして頑張ることが大切
・それでもどうしても締め切りに間に合わなかった場合は、その段階でスケジュールを変更してもらうしかない


たとえば、このような意識を持っているエンジニアに、私があるソフトウェアの作成を依頼したとしましょう。するとそのエンジニアは、今までの経験から「3ヵ月くらいでできると思います」と軽い気持ち(漠然とした見積り)で答えます。

多くの場合、この手のエンジニアはプロジェクトを甘く見て、最初の2ヵ月くらいはのんびりと過ごします。残り1ヵ月くらいの「お尻に火がついた」状態になって頑張るのですが、あわてて作るためにスパゲッティコード(スパゲッティのように複雑に絡み合ってしまったプログラム)になってしまいます。

残り2週間目くらいでソフトウェアはそこそこ動き始めますが、まだまだ機能は不十分だし、バグもたくさんあります。最後の1週間でバグの修正に取りかかりますが、最後の最後になって基本設計上の欠陥が見つかります。

しかし、いまさら後戻りはできないので、バグを回避するための、その場しのぎのパッチ(修正プログラム)を当てますが、そんなことをしているとますますプログラムが汚くなっていきます。

最後は徹夜もしますが、寝不足でミスが続き、結局バグが取れずに締め切りの日になってしまいました。私には「申しわけありません、できませんでした」と言うしかありません。

「じゃあどのくらいで完成するの」と聞くと、「あと2週間あれば大丈夫だと思います(根拠なし)」と答えます。しかし、2週間では根本的な変更などできるはずもなく、パッチにパッチを当て、目も当てられないようなプログラムになっていきます。

結局2週間努力しても問題は解決せず、「根本的な問題の解決のためにあと2ヵ月ください」と言い出します。しかたがないのでスケジュールの変更を認めると、時間に余裕があるので、最初の1ヵ月はのんびりしてしまいます。

そうして最後の1ヵ月でラストスパートをかけようとしますが、再び同じような状況に陥り、最後は徹夜の連続。再び寝不足のためにプログラムが汚くなり、バグが多発。結局、新しく設定した締め切りも逃してしまいました……。

こんなものはプロの仕事とは言えません。この仕事の根底には「締め切り=努力目標」という考えがあり、「目標に向けて精一杯努力をすることが大切」という体育会的な姿勢があります。

そして最もいけないのが「ラストスパート志向」です。多くの人が、「最初はのんびりしていても、最後に頑張ればなんとかなる」という根本的な誤ちを改めるところから始めないといけません。

ラストスパート志向の一番の欠点は、最後の最後までそのタスクの本当の難易度がわからないという点にあります。どんな仕事でも、やってみないとわからない部分が必ずあるのです。

だからラストスパート志向で仕事に取り組むと、仕事の後半に予想外のアクシデントが発生して、完了までの時間が伸び、ほかの人に迷惑をかけてしまう可能性が出てくることを忘れてはいけません。

まずは「締め切りは絶対に守るもの」と考える

ではたとえば上司から「これ10日でやっといて」という仕事が降ってきた時、どうすればいいでしょうか?大切なことは、スケジューリングの段階から「締め切りは絶対に守るもの」という前提で臨むことです。すると予定を立てる段階から、次のような真剣なやり方をとらざるを得なくなるはずです。

・「まずはどのくらいかかるかやってみるので、スケジュールの割り出しのために2日ください」と答えて仕事に取り掛かる(見積りをするための調査期間をもらう)
・その2日をロケットスタート期間として使い、2日で「ほぼ完成」まで持っていく
・万が一、その2日で「ほぼ完成」まで持っていけなかった場合、これを「危機的な状況」と認識してスケジュールの見直しを交渉する


「締め切りは絶対に守るもの」ということを常に念頭に置いておけば、何も考えずに「だいたい10日くらいでできると思います」みたいなあいまいな回答はできないはずです。

当然ですが、仕事の最初の段階では見積りすら不可能なタスクも多々あります。しかし、その手のものを、今までの経験をもとにざっくりと見積るのはとても危険な行為です。

そういう場合は、まずは上司から指定された期間の2割(この場合は2日間)を見積りのための調査期間としてもらい、その期間、猛烈に仕事に取り掛かります。仕事の真の難易度を測定するためです。

その間に「8割方できた」という感覚が得られたなら上司に「10日でやります」と伝えます。そこまで至らなかったら、相当難しい仕事と覚悟したほうがいいでしょう。上司に納期の延長を申し出るのは、早ければ早いほどいいわけですから、8割方できなかった場合は期日の延長を申し出ましょう。

文・ZUU online 編集部/ZUU online
 
なぜ、あなたの仕事は終わらないのか
中島聡(なかじま・さとし)
早稲田大学高等学院、早稲田大学大学院理工学研究科修了。高校時代からパソコン系雑誌『週刊アスキー』において記事執筆やソフトウェアの開発に携わり、大学時代には世界初のパソコン用CADソフト「CANDY」を開発。1985年に大学院を卒業しNTTの研究所に入所し、1986年にマイクロソフトの日本法人に転職。1989年には米国マイクロソフト本社に移り、Windows95、Internet Explorer3.0/4.0、Windows98のソフトウェア・アーキテクトを務め、ビル・ゲイツの薫陶を受ける。2000年に米マイクロソフトを退社し、ソフトウェア会社のUIEvolutionを設立してCEOに就任、現在に至る。

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